「学習者から、理由の『から』と『ので』の違いについて聞かれたけど、『意味は同じです』って答えてもいいの・・・?」
こんな疑問をお持ちではないですか?
「から」と「ので」は会話の中でよく使いますし、その違いについては学習者が疑問に持つことが多く、実際に今まで何回も質問を受けたことがあります。
細かい違いはありますが、この記事では、「から」と「ので」の違いを4つのポイントで説明しています。
今まで学習者に「『から』と『ので』は同じです」と答えていたのなら、ぜひこの記事を読んてみてください。
目次
理由「から」と「ので」の違い
「から」と「ので」の違い一覧
から | ので | |
文体 | 話し言葉 | 話し言葉・書き言葉のどちらもOK |
主観性 | 主観的 | 客観的 |
文末の意志表現 | とれる | 強い意志表現は結びつきにくい |
丁寧度 | 丁寧さに欠ける場合もある | 丁寧 |
では、「から」と「ので」の違いを4つのポイントから、例文を挙げながら説明します。
文体
「から」は、話し言葉のみですが、「ので」は、話し言葉でも書き言葉でも使えます。
主観性
「から」は、主観的な印象が強く、話者の気持ちや感情を表すときに使います。理由をはっきりと伝えたいときは「から」がいいです。
「ので」は、因果関係(理由と結果)や事実関係を客観的に表し、事態や状況の説明をするときに使います。
話者の気持ちを伝えるときは「から」
- 今日は疲れた(〇から 〇ので)、早く寝ます。
この文はどちらを使ってもいいと思いますが、主観である話者の気持ちを伝えるときは、「から」の方が「疲れた」ことがはっきり伝わる感じがします。
主観的な理由を述べるときは「から」
- 今日は19時に約束がある(〇から 〇ので)、残業はしないつもりです。
この例文もどちらを使ってもいいと思いますが、主観的な理由を述べるなら、「から」の方が、はっきり理由が伝わる感じがします。
客観的に事態や状況の説明をするときは「ので」
- 時間になった(?から 〇ので)、試験を始めます。
- 昨日は台風だった(?から 〇ので)、サッカーの試合は中止になりました。
因果関係や事実関係を客観的に述べ、事態や状況の説明をするときは、「ので」のほうが自然です。
意志表現
「から」は、文末にいろいろな意志表現がとれます。
「ので」は、特に、命令などの強い意志表現が来ると不自然になります。
- お金がない(〇から ?ので)、1万円貸して。(依頼)
- 時間がない(〇から ?ので)、急ごう。(意向)
- 歩き疲れた(〇から ?ので)、休みたいなぁ。(願望)
- うるさい(〇から ×ので)、静かにしろ!(命令)
文末に意志表現がくるときは、「から」の方が自然ですが、後件が丁寧形の場合、「ので」を使っても不自然になりません。
- 時間がない(〇から 〇ので)、急ぎましょう。(意向)
- 歩き疲れました(〇から 〇ので)、休みたいです。
丁寧度
「から」は話し方によっては丁寧ではない印象になるので、注意が必要です。
「ので」は丁寧な言い方です。
- 頭が痛い(?から 〇ので)、学校を休みます。
「から」は主観的なので、こういう理由を伝えるときは丁寧さに欠く印象になってしまいますね。
- ペンがない(?から 〇ので)、貸していただけませんか?
どうでしょうか?やはり「から」は依頼するときに使うと、丁寧さに欠け、「ので」の方がしっくりくるんじゃないでしょうか。
なので、許可を求めるときや、弁解をやわらかく伝えたいときは、「ので」を使ったほうがいいです。
それから、「主観性」のところで、「から」を使うとはっきり伝える印象になり、自己主張が強くなるとお伝えしました。
たのすけの意見になってしまうのですが、目上の人に理由を話すときは「ので」を使ったほうが自己主張の印象が弱まるのでいいのかな、と思います。
「ので」は、丁寧形に接続することで、より丁寧さを表せます。
- 雨が降っていますので、気をつけてお帰りください。
【まとめ】「から」と「ので」は似ているが、使い分けられるようになろう!
「から」と「ので」の違いについて紹介しました。
ポイントを4つ紹介しましたが、学習者にとっては、特に「丁寧度」の違いを知っているかどうかが一番重要だと思います。
理由は、学習者が依頼をする場面や何かの理由を伝えるときに、「から」を使うと丁寧さに欠く印象を持たれてしまうからです。
なので、「から」と「ので」の違いについては、依頼するときや、理由を述べるときは「ので」を使う!ことを強調するのがいいと思っています。
意味が似ている文型はたくさんありますが、学習者の視点に立って、「ここだけは知っておいたほうがいい!」というポイントで違いを示すのもいいのかな、と思います。
事前に、学生がつまづきやすい文法を把握しておけたらいいと思いませんか・・・?
それは、こちらでお届けしています。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。