「日本語の初級文法の授業では、どんな練習をすればいいの?」
「いつも同じ練習ばかりで、学習者は飽きていないか心配・・・」
日本語教師になったばかりの方!こんなことで悩んでいませんか?
この記事では、日本語の初級文法の練習方法9つと、具体的な練習のやり方について解説しています。
この記事をは、以下の人におすすめです。
この記事を読めば、単調だった練習方法にバリエーションが増えて、授業が今より楽しく効果的なものになりますよ!
目次
初級文法授業の「練習」とは
日本語の授業で「練習」とは、文型を導入した後に行う活動のことを言います。練習の目的は、学習した文法を『覚える』ことです。
機械的な単純練習を行い、記憶に定着させたり、口からスラスラ言えるようにします。
野球で言うと、素振りのようなものです^^
【参考】日本語の初級文法「導入」のやり方|大切なポイントは3つあります
【初級文法の練習方法】9つの練習方法を紹介
練習は、単純な練習から徐々に難易度を上げていきます。
文型によって、合う練習合わない練習があるので、練習は文型によって使い分けるのがいいですね。
難易度が簡単な順に、練習の方法を9つに分けました。
- リピート練習
- 代入練習
- 変換練習
- 結合練習
- 拡大練習
- 絵カード練習
- QA練習
- チェーンドリル
- 作文練習
それでは、練習方法9つを詳しく解説していきます!
リピート練習
リピート練習は、教師の発話をそのままリピートします。
導入文を板書して、リピート練習することが多いです。単純なリピートは、最初の口慣らしに最適です。
T:ミラーさんは会社員です。
S:ミラーさんは会社員です。
代入練習
代入練習は、ある言葉を次々に代入して練習します。例えば、「ミラーさんは〇〇です」の〇〇を次々に違う言葉に代入して練習します。
T:会社員 S:ミラーさんは会社員です。
T:銀行員 S:ミラーさんは銀行員です。
変換練習
変換練習は、言葉を変換させます。活用の変換練習もこれにあたります。
「~ています」の変換練習です。
T:食べます S:食べています
T:書きます S:書いています
結合練習
結合練習は、2つの文を一つの文にします。「から」の練習をします。
T:風邪です。病院へ行きます。
S:風邪ですから、病院へ行きます。
T:頭が痛いです。薬を飲みます。
S:頭が痛いですから、薬を飲みます。
拡大練習
拡大練習は、言葉をつなげて文を拡大していきます。
T:行きました S:行きました
T:東京 S:東京へ行きました
T:友達 S:友達と東京へ行きました
助詞を言わないのもポイントです。理由は、助詞も考えさせることによって、助詞も一緒に練習して覚えられるからです。
絵カード練習
絵カードを見せて、学習した文型を使って言ってもらいます。
T:絵を見て言ってください。
S:絵を描いています。
絵カード練習は定番かもしれませんが、この練習も効果的です。
絵カードを見て日本語の文にすることで、実際に同じ状況になったときに、そのシチュエーションを日本語で言えるようになります。
QA練習
QA練習とは、学習した文型を使って学習者が個人的なことに答える練習です。
これは、「はい/いいえ」で答えるクローズド・クエスチョンと、自由に答えるオープン・クエスチョンがあります。
(クローズド・クエスチョン)
T:今朝、朝ご飯を食べましたか。
S:はい、今朝朝ご飯を食べました。
(オープン・クエスチョン)
T:今朝、何を食べましたか。
S:今朝、パンを食べました。
オープン・クエスチョンは5W1Hいつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を使って質問をします。
チェーンドリル
チェーンドリルとは、チェーンのように学習者から学習者に質問をします。
学習者は答えるだけでなく質問もするので、学習者の発話が増えるというメリットがあります。
T:S1さん、今朝何を食べましたか。
S1:今朝、パンを食べました。S2さん、今朝、何を食べましたか。
S2:今朝、卵を食べました。S3さん、今朝、何を食べましたか。
作文練習
作文練習は3パータンあります。前件を考える練習、後件を考える練習、全文を考える練習です。
この練習は難易度が高くなりますが、自分で文を考えるので、運用力をつける練習にもなります。
(前件練習)
T:_____ために、日本語を勉強します。
S:日本の大学に入るために、日本語を勉強します。
(後件練習)
T:旅行するために、________。
S:旅行するために、アルバイトをします。
【日本語授業の練習】具体的な練習のやり方
いつ・どんな練習をしたらいいのか
練習は徐々に難易度を上げていきます。文型の形をスラスラ言えないのに、QA練習や作文練習をしても意味がありません。
まずは、形を覚えてスラスラ言えるように、単純な機械練習からやります。
注意してほしいのは、機械練習だけだと学習者は飽きてしまいます。チェーンドリルを入れたり、自分で考えるQA練習、作文練習を入れたりと工夫も必要です。
練習を考えるときは、その練習をして学習者に何ができるようになってほしいのかを考えると練習を考えやすいと思います。
例えば、「~ています」の形を正しくできるようになってほしいなら、変換練習で形を覚えさせます。
T:食べます S:食べています
T:書きます S:書いています
T:遊びます S:遊んでいます
「から」を使って自分のことを言えるようになってほしいなら、作文練習をして、文を作らせます。
T:明日はテストですから、______。
S:明日はテストですから、勉強します。
T:________から、勉強しませんでした。
S:アルバイトが忙しかったですから、勉強しませんでした。
一つの文型に対して練習は一つでは足りません。3つ4つ練習を準備しておくといいですね。
学習者の出来具合で練習の種類、数も変えられるようになるとベストです。
練習をする時間配分
授業の時間配分は、以下の目安です。
導入:練習:活動=1:3:5
50分の授業なら、導入5~10分、練習10~15分、活動25~35分です。
練習で気をつけるポイント
練習の一番の目的は形を覚えてスラスラ言えるようになることですが、ポイントは現実のシチュエーションでありえる設定にすることです。
実際に使わないような文で練習しても意味がありません。「その日本語、いつ使うの?」となっちゃいますからね。
極端な例を出します。
①昨日の晩、何を食べましたか。
②一週間前の晩、何を食べましたか。
①は実際のコミュニケーションである会話だと思いますが、②の「一週間前の晩」なんて実際に聞くことはあるでしょうか?
練習に取り上げる例文も現実のコミュニケーションで使うものにしましょう!
キューの出し方で、語彙の復習にもなる
練習のときのキューの出し方で、語彙を復習することもできます。
キューとは、以下の代入練習で教師が言っている「会社員」や「銀行員」のことです。
T:会社員 S:ミラーさんは会社員です。
T:銀行員 S:ミラーさんは銀行員です。
こういった練習のときにキューとして色んな語彙を使用することで、既習だけどあまり使わないので忘れつつある語彙を復習することもできます。
【まとめ】目的によって練習方法を変えよう!
練習は次の活動をスムーズに行うために大切です。
練習方法のポイントをまとめますね。
- 一つの文型に対して練習はいくつも準備する。(多すぎたら時間に合わせて削ればよい)
- 練習は徐々に難しくしていく。
- ずっと同じ練習をしないで、練習にメリハリをつける。
- 練習に使う例文などは、実際のコミュニケーションで使用するものを選ぶ。
- 目的に合わせて練習方法を変える。
練習のやり方がわかったら、次は「初級文法「活動」のやり方|4つの活動で「日本語の運用力」を手に入れよう!」の記事をどうぞ。
授業中の誤用の訂正の仕方がわからないなら、「日本語授業で誤用のフィードバック方法|誤用の訂正は日本語上達への近道!」の記事をご覧ください。
以上、たのすけでした。
日本語教師のまとめ記事はこちら
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。