「ディクテーションがいいって聞いたけど、実際にどうやるの?」
そんな疑問を持っていませんか?
私が日本語教師になったばかりの頃、ゼロ初級のクラスを担当していました。
ゼロ初級なので、ひらがな・カタカナから指導します。その時に、先輩からディクテーションを授業に取り入れてと言われたんです。
でも一体どうやって・・・!?やり方を簡単には教えてもらいましたが、試行錯誤しました・・・!
試行錯誤をして辿り着いたディクテーションのやり方があるので、ご紹介します。
ひらがな・カタカナを覚えた後の活動として取り入れるディクテーションを想定しています。
この記事を読めば、以下の疑問が解決します。
目次
ディクテーションの4つの効果
ディクテーションとは、教師やCDなどから聞き取った音を文字化していく聞き取りの活動のことを言います。
ディクテーションはいいよって聞くけど、実際にはどのような効果があるのでしょうか。
ディクテーションで期待できる効果は4つあります。
- 音声を聞き取る力がつく
- 音声と文字を一致させる力がつく
- 音声から意味を理解する力がつく
- 文を予想して聞く力がつく
なんとなく、日本語を聞けて話せていると思っていても、実際に日本語に書き起こせることは別物です。
ディクテーションを実施することで、何の音が聞き取れないのかを知ったり、音声と文字の違いに気が付いたりして、正しい日本語を覚えることができます。
ディクテーションはどのレベルの学習者向き?
どのレベルでもディクテーションはおすすめです。
なぜなら、単語から文の一部、文章全体までレベルに応じて実施することができるからです。
しかし、ひらがな・カタカナを覚えたら、ディクテーションをおすすめしています。
理由は、曖昧に覚えている文字を、正しく音声と文字を一致させることができるからです。
例えば、「おはようございます」と話せたとしても、書けるとは限りません。文字にしてもらうと「おはよごじゃいます」と「う」が抜けてしまう場合や、「ざ」が「じゃ」になっている場合もあります。
そのため、ひらがな・カタカナを覚えたら、ディクテーションを実施して音声と文字が一致しているか確認するのがおすすめです。
ディクテーションのやり方|初級の日本語学習者向け
ここでは、初級の学習者に実際に私が実施していたディクテーションのやり方をご紹介します。
- ディクテーションの紙を配布(または、学習者自身のノートでもよい)
- ディクテーションのやり方を説明
- 教師が言葉を言い、学習者は書き取る
- 学習者にホワイトボードに答えを書いてもらう
- ホワイトボードを見ながら答え合わせ(学習者は自己採点)
- 答えをリピートする
④は、時間によって調整します。時間がなければ教師がホワイトボードに答えを書いて、答え合わせをします。
⑥で答えをリピートするのは、音声と文字を再度認識してもらう狙いがあります。
ディクテーションの内容|初級の日本語学習者向け
初級のディクテーションでは、以下のような内容をしていました。
詳しく説明していきます。
ひらがな・カタカナの単語
単語を選ぶポイントは、文字に偏りがないように選ぶことです。
- 簡単なものから難しいものまでバランスよく選ぶ
- 拗音(小さい「ャ・ュ・ョ」)、促音(小さい「ッ」)、長音(ー)、濁音(〝)、半濁音(゜)が入っている単語も選ぶ
あり、いす、だいがく、おかあさん、さっか、ざっし、かいしゃいん、けんきゅうしゃ、びょういん
アイス、オレンジ、サッカー、ゲーム、ジュース、パジャマ、スマートフォン、ネパール
「ディクテーションの単語を探すのが大変・・・!」という場合は、使っている教科書の語彙から探すと、探しやすいです。例えば、「みんなの日本語」の教科書を使っているならば、その語彙から選びます。
または、このようなカードから出題するのもいいと思います。
単語の意味が絵になっているので、聞き取った単語がどんな意味なのかを知ることができます。
文
最初は挨拶などから始めるのがいいと思います。
実際に話せても、正確には文字に書き起こせないこともあります。
おはようございます、こんにちは、ありがとうございます、よろしくおねがいします、いってきます、さようなら
他には教室言葉や最初に学習する文法などでもいいと思います。
まえをみてください、いってください、わたしはがくせいです
間違えやすいもの
間違えやすいものは、発音も間違えやすいです。
中級以上になっても、「おばさん」と言っているのか「おばあさん」と言っているのかわからない場合があります。
実際に私は中級以上の学習者のレッスンで、「夫」と「弟」が間違って伝わっており話が嚙み合わなかったことがありました。
おばあさんvsおばさん、おじいさんvsおじさん、おっとvsおとうと、びょういんvsびよういん、さっかvsサッカー
ディクテーションで気を付けること
ディクテーションを実施するときに、注意することがあります。
- 聞き終わってから書かせる
- 区切らず読む
- 読み直しはしない
聞き終わってから書くことを、ディクテーションのやり方を説明するときに伝えましょう。
基本は1回で書き取ってもらうのがベストですが、聞き取れなけれ2回ほど言います。
【まとめ】ひらがな・カタカナを覚えたら、ディクテーションを取り入れてみよう!
初級の日本語学習者向けのディクテーションのやり方を紹介しました。
ディクテーションの活動は1回やって終わりではなく、毎日少しでもいいので実施することで、だんだん日本語の音声と文字を正しく理解し、書けるようになります。
ひらがな・カタカナを覚えたら、ぜひ取り入れてみてくださいね。
ちょっと授業の時間が余っちゃった・・・というときにも、ディクテーションは準備なしでできるので、おすすめです^^
【参考】日本語の初級授業で、時間が余ってしまったときの7つの対処法
国際交流基金ソウル日本文化センターの資料がディクテーションについて参考になるので、興味があればぜひ読んでみてください。≫ディクテーションのすすめ
以上、たのすけでした。
日本語教師のまとめ記事はこちら
≫日本語教師になりたい方向けのまとめ記事
≫授業のやり方や教え方で悩んでいる日本語教師の方向けのまとめ記事
≫【完全保存版】日本語授業のやり方や教え方がわかるまとめ記事
≫働き方で悩んでいる日本語教師の方向けのまとめ記事
日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。