「学習者が作った例文はどこか違和感が・・・」
「誤用なのはわかるけれど、どう訂正したらいいのかな」
そんな悩みを持っていませんか?
誤用であることがわかっても、それをどう訂正したらいいのか頭を悩ませてしまうこともありますよね。
この記事では、学習者の誤用や誤用を指導するときのポイントがわかる本『日本語誤用辞典』を紹介しています。
日本語の参考書って、結構いいお値段しますよね。
ですので、購入を検討している方向けに、どんな中身なのか、おすすめの人・おすすめじゃない人について述べたいと思います。
目次
『日本語誤用辞典』を紹介します
紹介するのは『日本語誤用辞典』で、こちらです。
『日本語誤用辞典』は、タイトルの通り、学習者の誤用が多数掲載されています。
学習者の誤用を取り上げ、その要因を解説して、誤用から得た指導のポイントが書かれています。
掲載されている誤用の例文数は、2720文もあります!
誤用は、学習者の作文・テストの解答文・練習問題の答えがメインで、会話からも採集しています。
3つのおすすめポイント
誤用を分類してくれている
『日本語誤用辞典』では、誤用を6種類に分類しています。
脱落・付加・語形成・混同・位置・その他の6つです。
誤用をした学習者の国籍がわかる
母語の影響により、国籍によって間違えやすい誤用があります。
『日本語誤用辞典』では、例文を作った学習者の国籍が掲載されているので、
この国籍の学習者はこういった誤用が出るんだな、というのが把握できるようになっています。
誤用に対して間違いの理由と指導のポイントがわかる
『日本語誤用辞典』の一番のポイントは、学習者の誤用に対して、なぜ間違いなのかと、どう指導したらいいのかポイントが書かれていることです。
出典:市川保子(編著)『日本語誤用辞典 外国人学習者の誤用から学ぶ日本語の意味用法と指導のポイント』スリーエーネットワーク,2010年
例えば、以下の誤用は、なぜ間違いとされているのでしょうか?
1.誤:私にとってその色はあまり好きではない。正:私はその色はあまり好きではない。
2.誤:いま、私にとって勉強の方をもっとがんばらなければならない。正:今、私は勉強の方をもっと頑張らなければならない。
出典:市川保子(編著)『日本語誤用辞典 外国人学習者の誤用から学ぶ日本語の意味用法と指導のポイント』スリーエーネットワーク,2010年,P562
どうでしょうか・・・?
パッと理由が思い付いたでしょうか。
『日本語誤用辞典』では、このような誤用が紹介されていて、各誤用の要因と、最後に指導のポイントが書かれています。
では、先程の誤用の説明部分を引用します。
1,2は「にとって」を主題提示形式(例えば「は」と誤解し、また、「にとって」がどのような述語と結びつくかを考慮していないために誤用となっている。「にとって」は「重要だ、簡単だ、大切な存在だ、有害なものだ」といった評価を述べる語と結びつきやすい。「好きだ、嫌いだ、つまらない、うれしい、さびしい」(主観的な意味の述語)や、「私」の意志(「しよう」や義務「しなければならない」など)とは結び付きにくい。また、「にとって」は立場を提示するため、人か、あるいは組織(会社、学校、社会、国など)と組み合わせることが自然だと思われる。
出典:市川保子(編著)『日本語誤用辞典 外国人学習者の誤用から学ぶ日本語の意味用法と指導のポイント』スリーエーネットワーク,2010年,P565
こんな感じで、誤用に対して間違いが起きた要因を述べてくれています。
おすすめできないポイントはある?
おすすめできないポイントと言いますか、もっとこうだったらいいのに!!というのがあります。
それは、取り扱っている文型・言葉が少ないことです・・・!
『日本語誤用辞典』では、見出しの項目数は170です。
内容の内訳は以下の通りです。
モダリティ(20)、テンス・アスペクト(12)、ヴォイス(7)、やりもらい(6)、助詞(18)、指示語(3)、引用節(4)、名詞節(2)、名詞修飾節(1)、理由節(4)、トキ節(5)、条件節(4)、逆接節(4)、目的節(5)、並列(継起)節(7)、接続詞(28)、副詞(40)
※五十音順の検索もできます。
見てもらうとわかると思いますが、接続詞や副詞も掲載されていますが、その分、取り扱っている文型は少ないです。
主要文型は取り扱っている印象です。≫取り扱っている文型・表現を知りたい方はこちら
どんな人に『日本語誤用辞典』がおすすめ?
『日本語誤用辞典』がおすすめなのは、以下の人です。
逆に、初級や中級文法書を知りたいという方には、あまりおすすめできません。
理由は、掲載されている文型数が少ないからです。
ですので、基本の文法書は持っていて、+αとして使うのにおすすめです。
たのすけは、文法書を読んでも学習者の誤用の理由が見つからないときに、誤用の理由を調べるときに使うことが多いです。
各誤用の最後には、文型・表現の指導のポイントが掲載されていて、おすすめです。
簡潔にまとまっているので、文法書と同じように、文型・表現のポイントを調べる時にも役に立つと思います。
【まとめ】『日本語誤用辞典』は、学習者の誤用や間違いの理由を知りたいときに役に立つ!
学習者の誤用や間違いの要因を知りたいときに役立つ本として、『日本語誤用辞典』を紹介しました。
学習者がどんな誤用をするのか知りたい人や、学習者の誤用がなぜ間違いなのかを知りたい人におすすめです。
使用頻度は基本の参考書と比べると少ないですが、たのすけは買ってよかった参考書です。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。