動作が連続して起こること(継起)を表す文法に「~て」「~てから」「~たあとで」があります。
この3つは何か違いがあるのでしょうか・・・?
では、例文で比べてみますね。
朝ご飯を食べて、学校へ行きます。
朝ご飯を食べてから、学校へ行きます。
朝ご飯を食べたあとで、学校へ行きます。
どうでしょうか・・・?
どれでも正しい文ですが、違いはあるのでしょうか。
「~て」「~てから」「~たあとで」の違いは何だろう・・・と疑問に思ったのなら、ぜひこの記事を読んでみてください。
この記事では、「~て」「~てから」「~たあとで」の3つの違いについて、6つのポイントを例文でわかりやすく説明しています。
目次
「~て」「~てから」「~たあとで」の特徴
「~て」「~てから」「~たあとで」は、動作が連続して起こること(継起)を表します。
それぞれ特徴は以下の通りです。
- ~て:2つ以上の動作の順番を表す。
- ~てから:前件の動作が完了を条件に、後件の動作に移る。前件が後件の動作をするために必要なこと(準備)。
- ~たあとで:前件の動作が終了し、後件の動作に移る。前後関係を客観的に述べる。
同じ意味の表現でも、それぞれ特徴があるので、ポイントをおさえておきましょう。
「~て」「~てから」「~たとで」の違い|6つのポイントで比較
6つのポイントで、「~て」「~てから」「~たあとで」を比較してみました。
では、実際に例文で違いを比べてみましょう!
動作の順番を表すだけなら、どれを使ってもOK
昨日は、レストランでご飯を(〇食べて 〇食べてから 〇食べたあとで)、映画を見ました。
テレビを(〇見て 〇見てから 〇見たあとで)、勉強します。
田中さんが(〇来て 〇来てから 〇来たあとで)、鈴木さんが来ました。
動作の順番が決まっている場合は、「~て」を使う
料理を(〇作って ×作ってから ×作ったあとで)、食べます。
喫茶店に(〇入って ×入ってから ×入ったあとで)、コーヒーを飲みませんか?
「いつするのか」が問題になるときは、「~てから」「~たあとで」がよい
A:宿題やった?
B:ううん、まだ。ご飯を(×食べて 〇食べてから 〇食べたあとで)やるよ。
前件が後件をするために必要なことの場合は、「~てから」がよい
靴は(×履いて 〇履いてから ×履いたあとで)、買うかどうか決めます。
日本語を(×勉強して 〇勉強してから ×勉強したあとで)、留学したほうがいいよ。
連続する動作のときは「~て」「~てから」がよい
手を(〇洗って 〇洗ってから ×洗ったあとで)、ご飯を食べます。
ご飯を食べるまえに、「いただきます」と(〇言って 〇言ってから ×言ったあとで)、食べましょう。
後件の動作が一定期間続く場合は、「~てから」がよい
今週に(×なって 〇なってから ×なったあとで)、咳が出ている。
日本に(×来て 〇来てから ×来たあとで)、毎朝6時に起きている。
ニュアンスがどう違う?例文で違いを比べよう!
では、6つのポイントを踏まえて、冒頭の例文のニュアンスの違いを比べてみたいと思います。
- 朝ご飯を食べて、学校へ行きます。→「朝ご飯を食べる→学校へ行く」という動作の順番を示す。
- 朝ご飯を食べてから、学校へ行きます。→学校へ行くためには、朝ご飯を食べることが必要、学校へ行くための準備として朝ご飯を食べる、というニュアンスがある。
- 朝ご飯を食べたあとで、学校へ行きます。→学校へ行くのは、朝ご飯を食べた「あと」だとはっきり示す。
いつも朝ご飯を食べて学校が行く場合は、「~てから」を使うのが自然かと思います。
理由は、学校で勉強するエネルギーをチャージするために朝ご飯が必要で、だから朝ご飯を食べるんだ!というニュアンスを伝えられるからです。
いつも朝ご飯を食べない人が朝ご飯を食べるときは、「~たあとで」を使っても不自然じゃないですよね。(もちろん、「~てから」もOKです)
こう考えると、「~てから」と「~たあとで」にはニュアンスの面で違いがあります。
では、他の例文で「~てから」と「~たあとで」を比べてみましょう。
ご飯を食べてから、薬を飲んでください。
ご飯を食べたあとで、薬を飲んでください。
この例文はどちらも正しいですが、ニュアンスの面で異なります。
例えばですが、この薬は胃があれるから、ご飯を食べる必要がある、薬を飲む前に「絶対に」ご飯を食べたほうがいいのなら、「~てから」を使ったほうがいいです。
理由は、「~てから」は、前件が後件をするために必要なこと(準備)だからです。
「~たあとで」は、薬を飲むのはご飯を食べた「あと」だとはっきり示しているだけになります。
【まとめ】
同じ順番を表す文法でも、「~て」「~てから」「~たあとで」は、特徴が違います。
もう一度ポイントをまとめます。
☞「~て」「~てから」「~たあとで」の特徴
- ~て:2つ以上の動作の順番を表す。
- ~てから:前件の動作が完了を条件に、後件の動作に移る。前件が後件をするために必要なこと(準備)。
- ~たあとで:前件の動作が終了し、後件の動作に移る。前後関係を客観的に述べる。
☞「~て」「~てから」「~たあとで」の6つのポイント
- 時間の前後関係を示すなら、どれを使ってもOK
- 動作の順番が決まっている場合は、「~て」を使う
- 「いつするのか」が問題になるときは、「~てから」「~たあとで」がよい
- 前件が後件をするために必要な場合は、「~てから」がよい
- 連続する動作のときは「~て」「~てから」がよい
- 後件の動作が一定期間続く場合は、「~てから」がよい
似ている文法の違いを聞かれたときに、どこまで学習者に説明するかは、
学習者の日本語レベルや理解度に合わせて、伝えること・あえて伝えないことを決めるといいと思います。
学習者の今の日本語レベルに合わせて、説明しすぎない、というのもポイントです。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。