学習者から
「先生、「勉強してあります」と「勉強しておきました」は何が違いますか?」
と質問されたら、あなたはどう答えますか?
「~てある」は結果の状態の意味以外に、準備の状況を表す意味もあります。
この記事では、準備の「~てある」と「~ておく」の違いを紹介しています。
冒頭の学習者の質問に「何て答えよう…」と思ったのなら、ぜひこの記事を読んでみてください。
目次
準備「~てある」と「~ておく」の用法
まずは、準備の意味を表す「~てある」と「~ておく」の基本的な意味を確認しましょう。
準備「~ておく」
「~てある」は、「ある目的のために準備して、その効果が今も残っている」という意味です。
準備の状況を表すので、動詞は意志動詞を使い、自動詞でも他動詞でもOKです。
準備「~ておく」
「~ておく」には、準備・措置・放置の3つの意味がありますが、
基本的な意味は、「あとに起こることを予想して、前もって何かをする」です。
動詞は意志動詞を使い、自動詞でも他動詞でもOKです。
例文で「~てある」と「~ておく」の違いを比べてみよう!
では、例文で違いを見ていきましょう!
A:みなさん、今日は漢字テストですね。
B:テストのために、たくさん勉強してあります!だから、大丈夫です。
C:テストのために、たくさん勉強しておきました!昨日100回書きました。
BさんもCさんも、「テストのために、勉強した」(前もってした準備)のは同じです。
では、何が違うのかと言うと、注目すべきポイントが異なります。
では、イラストで違いをイメージしてみます。
「たくさん勉強してあります」は、「たくさん勉強したので、今も覚えていますよ!」と、勉強した効果が今も続いていることを表します。
これは「~てある」がもともと結果の状態を表すことから、その意味になります。
「たくさん勉強しておきました」は、「テストがあるので、勉強したよ!」と、前もってしたことにポイントが置かれます。
では、下記の例文の違いについて、どのように学習者に説明したらいいでしょうか?
今日は子供の誕生日なので、ケーキが買ってあります。
今日は子供の誕生日なので、ケーキを買っておきました。
先ほどと、同じように考えてみます。
「ケーキが買ってあります」は、誕生日だからケーキを買った⇒だから、今ケーキがあるよ、という意味で、今の状態に注目しています。
「ケーキを買っておきました」は、誕生日だから、前もってケーキを準備したよ、という意味で、事前に準備したことに注目しています。
学習者にどうやって説明する?
冒頭の学習者の質問への回答ですが、
- どちらも「テストのために、その前に勉強した」ことは同じ。
- 「勉強してあります」は、「勉強したから、今準備OKです」と、今に注目している。
- 「勉強しておきました」は、「テストのために、勉強した」と、勉強したことに注目している。
という説明でいいと思います。
【まとめ】準備「~てある」と「~ておく」は、注目すべきポイントが異なる!
準備「~てある」と「~ておく」の違いについて説明しました。
「~てある」と「~ておく」のどちらを使っても、前もって何かをした(準備)ことは同じです。
違いは、注目すべきポイントです。
- ~てある:前もってしたことの効果が、今も続いていることにポイントが置かれる。
- ~ておく:前もって何かをしたことにポイントが置かれる。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。