日本語の教案

結果の状態「~ている」と「~てある」の違いは?|日本語文法の基礎知識

学習者から

「先生、「電気がついています」と「電気がつけてあります」は何が違いますか?」

と質問されたら、あなたはどう答えますか?

 

 

結果の状態を表す「…が~ている」と「…が~てある」は、自他の対応がある動詞の場合、

意味が似ているので、違いについて質問されることも多くなります・・・

 

冒頭の質問は、実際に質問されたことがある日本語教師の方も多いのではないかと思います。

たのすけ
たのすけ
「みんなの日本語」では、29課で「…が~ている」、30課で「…が~てある」を勉強するので、30課を勉強したときに、違いについて質問されることが多いです。

 

この記事では、結果の状態「~ている」と「~てある」の違いについて、2つのポイントを紹介しています。

 

冒頭の学習者の質問に「何て答えよう…」と思ったのなら、ぜひこの記事を読んでみてください。

 

結果の状態「~ている」と「~てある」の2つの違い

結果の状態「…が~ている」と「…が~てある」の違いは、ポイントが2つあります。

自動詞と他動詞の違い

「~ている」と「~てある」は、使う動詞が『自動詞』か『他動詞』かの違いがあります。

  • ~ている:自動詞 (例)ドアが開いている。
  • ~てある:他動詞 (例)ドアが開けている。
たのすけ
たのすけ
「開きます」は自動詞、「開けます」は他動詞です。

 

人の意図を含むか

「~ている」と「~てある」は、人の意図があるかどうかで使い分けをします。

人の意図があるとは、人が何か目的や理由やあって、その行為をするということです。

  • ~ている:人の意図を含まない
  • ~ている:人の意図を含む

 

例文で確認してみましょう。

寒いと思ったら窓が開いていますね。(窓が開いている状態に注目)

暑いので窓が開けてあります。(誰かが意図して窓を開けたことに注目)

たのすけ
たのすけ
「~てある」には、暑いから、誰かが窓を開けたという意図が含まれます。

 

【補足】自然現象の場合は?

人の意図がない自然現象の場合は、「~ている」を使います。

今日は風が強いね。風で窓が(〇開いている ×開けてある)。

たのすけ
たのすけ
上記の例文は、人が意図して行った動作ではないので、「~てある」は使えません。

 

例文で「~ている」と「~てある」の違いを比べてみよう!

では、冒頭の例文で、「~ている」と「~てある」の違いを比べてみましょう!

 

電気がついています

電気がつけてあります

「~ている」は、結果の状態に注目するので、今電気がついている状態に注目して言います。

例えば、教室に入ったとき、ついている電気を見て「あ、電気がついている」と言います。

 

「~てある」は、何か目的があって人がしたときに使います

例えば、教室に入ったとき、「ああ、授業があるから誰かが電気をつけてくれたんだな」と思ったら、「電気がつけてあります」と言います。

 

もう少し、比べてみましょう!

では、下記の例文の違いについて、どのように学習者に説明したらいいでしょうか?

エアコンがついています

エアコンがつけてあります

 

先ほどと、同じように考えてみます。

「エアコンがついています」は、部屋に入って、エアコンがついていることに気が付いて出た言葉です。

今の状態に注目しています。

 

「エアコンがつけてあります」は、部屋に入って、エアコンがついていることは同じです。

ですが、「~てある」は、人が何かの目的があってしたときに使います。

「エアコンがつけてあります」と言えば、今日は寒いから、誰かが部屋を暖かくするためにつけたんだな、と思って出た言葉です。

 

たのすけ
たのすけ
「~ている」は今の状態を述べているのに対し、「~てある」は誰かが意図して行った結果の状態を述べるので、注目すべきポイントが異なります。

 

違いがわかる例文を紹介します!

自他の対応がある動詞で、違いがわかるような例文を紹介します。

  • 台風で木が(〇倒れています ×倒してあります)。
  • あ、袋が(〇破れています ×破ってあります)。
  • 寒いので、窓が(×閉まっています 〇閉めてあります)。
  • たばこのにおいがするので、窓が(×開いて 〇開けてあります)。
  • 出かけていたので、家の鍵が(×かかっています 〇かけてあります)。
たのすけ
たのすけ
黄色の下線は、人の意図がわかる部分です。

 

学習者にどうやって説明する?

冒頭の学習者の質問への回答ですが、

  • 「~ている」は自動詞、「~てある」は他動詞と使う。
  • 「電気がついています」は、今電気を見て「あ!電気がついている」と使う。
  • 「電気がつけてあります」は、誰かが目的や理由があって「電気をつけた」ときに使う。

という説明でいいと思います。

たのすけ
たのすけ
学習者に伝えるべきポイントは、①使う動詞(自動詞or他動詞)、②人の意図があるか、の2つです。

 

【まとめ】結果の状態「~ている」と「~てある」は、2つの違いがポイント!

結果の状態「…が~ている」と「…が~てある」の違いについて説明しました。

違いについて、もう一度まとめます。

☞~ている

  • 自動詞と一緒に使う。
  • 人の意図を含まない。(行為に注目しない)
  • 動作の結果の状態が続いていることを表す。⇒今の状態に注目している。

 

☞~てある

  • 他動詞と一緒に使う。
  • 人の意図を含む。(行為に注目する)

 

結果の状態の意味で自他の対応がある場合、「…が~ている」と「…が~てある」の違いは聞かれることが多いです。

聞かれたときに答えられるように、2つのポイントをおさえておいてくださいね。

 

 

以上、たのすけでした。

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