日本語の教案

「なら」の意味は主題?条件?|日本語文法の基礎知識をわかりやすく解説

「なら」ってどんな意味があるんだっけ?

条件の意味もあったし、主題の意味もあったし…

そう思っていませんか?

 

「なら」は条件の意味もあって、

条件表現の「と」「ば」「たら」「なら」は、学習者が混乱しやすいところです。

この記事では「なら」の意味と条件表現「なら」のポイントを解説しています。

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

この記事を読めば、以下のことがわかります。

  • 「なら」の意味・用法
  • 条件「なら」のポイント
  • 「なら」の導入ポイント

 

自分が理解していないと学習者に聞かれたときに、焦ってしまいますよね。

この記事を読んで、ぜひ「なら」のポイントを押さえておきましょう。

 

「なら」の3つの意味と用法

「なら」の例文

まずは、「なら」の基本的な意味を確認しましょう。意味は3つあります。

仮定条件

「なら」は仮定条件を表します。

仮定条件は、実際に起こるかどうかわからない条件のことを言います。

明日晴れるなら、海へ行きたい。

田中さんがパーティーに参加するなら、私も参加する。

 

「Aなら、B」で、Aが実際に起こるどうかわからないことが成立したと仮定し、Bでその場合は「どうなる」「どうする」と言うときに使う。

 

主題(トピック)

「なら」は主題(トピック)を表します。

主題(トピック)の「なら」は、「は」と置き換えできます

お酒なら、ビールが一番好きです。

 

正しくは、「なら」を「は」に置き換えたとき、ニュアンスは微妙に異なります。

理由は、「なら」のときは、主題(トピック)といっても仮定の意味が含まれるからです。

 

相手の言葉を受ける

相手の言葉を受けて、アドバイス、希望・意志・判断・命令を言うときに使います。

A:おいしいケーキが食べたいな。

B:おいしいケーキなら、駅前のケーキ屋がおすすめです。

たのすけ
たのすけ
「なら」は、相手の言葉を受けて使うことが多いです。

 

条件表現「なら」のポイント

それでは、条件表現「なら」の5つのポイントを見ていきましょう。

1.仮定表現を表し、一般条件には使えない

「なら」は、一般条件のときは使えません。

  • 一般条件:いつもその事態が起こる
  • 仮定条件:実際に起こるかどうかわからない

 

 スーパーへ行くなら、卵を買って来てください。(仮定条件)

× 春になるなら、桜が咲きます。(一般条件)

たのすけ
たのすけ
一般条件を言うときは、「」か「」を使います。

 

2.前件と後件の間に、時間的前後関係が必要ない

「なら」は、前件と後件に時間的前後関係が必要ありません。

これは、条件表現「と/たら/ば」と異なる点です。

 

北海道へ行くなら、飛行機が一番安い。

「なら」を使うときは、必ず「前件→後件」でなくてもよく、前件と後件が同時に起こる場合や「後件→前件」の順番のときでも使えます。

たのすけ
たのすけ
時間的前後関係が必要な場合は、「」や「たら」と置き換えられません。

 

3.文末に意志表現がとれる

「なら」は、後件の文末に意志表現(希望・勧誘・依頼・命令・許可など)がとれます。

 田中さんが行くなら、私も一緒に行きたいです。(希望)

 明日暇なら、映画を見に行きませんか。(勧誘)

 スーパーへ行くなら、卵を買って来てください。(依頼)

 

4.書き言葉にも話し言葉にも使う

「なら」は、書き言葉にも話し言葉にも使えます。

 

5.過去には使えない

「なら」は、過去には使えません。

× 学生のころ、夏になるなら、海へ泳ぎに行っていた。

 

ただし、反事実仮想の過去なら使えます。

反実仮想:事実と反対のことを想定する。もし~だったら、…だろうに。

お金があったなら、留学できたのに。

 

「~なら」と「~のなら」の違い

条件表現の「なら」は、「のなら」と言うこともできます。

スーパーへ行くなら、卵を買って来てください。

スーパーへ行くのなら、卵を買って来てください。

 

ただし、「のなら」を使うときは、前提やある状況があるときです。

「行くなら」は、「スーパーへ行く機会があれば」という意味ですが、

「行くのなら」は、スーパーへ行く前提やスーパーへ行きそうな状況のときに使います。

 

「なら」の導入ポイント

条件表現「なら」は、仮定条件で文末に意志表現を使った例文で導入するのがおすすめです

田中さんが飲み会に来るなら、私も行きたいです。

明日暇なら、映画を見に行きませんか。

 

他の条件表現「」「」「たら」と異なることを説明するなら、「なら」にしかない主題(トピック)や相手の話を受ける使い方を説明するのがおすすめです

スポーツなら、サッカーが好きです。(主題)

A:日本を旅行をする予定なんですが、どこがおすすめですか。
B:日本を旅行するなら、京都がおすすめですよ。(相手の話を受ける)

たのすけ
たのすけ
「なら」の特徴を示すなら、主題や相手の話を受けてアドバイスをする状況設定がわかりやすいです。

 

【まとめ】「なら」の特徴は、条件以外の使い方があること!

「なら」について意味と用法を解説しました。

「なら」は条件に使うよりも、主題(トピック)や相手の話を受けて使うことが多いです。

 

もう一度、「なら」の意味と用法をまとめます。

☞「なら」の意味は、「仮定条件」「主題(トピック)」「相手の話を受ける」

☞条件表現「なら」の5つのポイント

  1. 仮定条件を表し、一般条件には使えない
  2. 前件と後件の間に、時間的前後関係が必要ない
  3. 文末に意志表現がとれる
  4. 書き言葉にも話し言葉にも使える
  5. 過去には使えない
たのすけ
たのすけ
学習者に条件表現「なら」の説明をするときは、①~④の説明をするといいと思います。

 

もし、学習者がどんな文法を難しいと感じるているのが分かれば、事前に準備ができますよね・・・!

それは、こちらでお届けしています。

 

以上、たのすけでした。

日本語教師向けのまとめ記事一覧

日本語教師のまとめ記事はこちら

日本語教師になりたい方向けのまとめ記事
授業のやり方や教え方で悩んでいる日本語教師の方向けのまとめ記事
【完全保存版】日本語授業のやり方や教え方がわかるまとめ記事
働き方で悩んでいる日本語教師の方向けのまとめ記事

日本語教師たのすけです。

恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。

詳しいプロフィールはこちら