日本語の教案

条件「と」の意味と用法をわかりやすく解説|日本語文法の基礎知識

条件表現って、難しい!!

そう思っていませんか?

 

条件表現の「と」「たら」「ば」「なら」は学習者が混乱しやすいところです。

この記事では条件表現「と」の意味と用法を解説しています。

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

この記事を読めば、条件表現「と」のポイントとどんな例文で導入すればいいのかが、わかります

 

自分が理解していないと学習者に聞かれたときに、焦ってしまいますよね。

この記事を読んで、ぜひ「と」のポイントを押さえておきましょう。

 

条件表現「と」の6つのポイント

まずは、「と」の基本的な意味を確認しましょう。

「Aと、B」で、Aが成立すれば、必ず・いつもBが起きる、自然にそうなる。
まっすぐ行くと、銀行があります

 

たのすけ
たのすけ
「と」は、後ろのことが発生したきっかけを述べる意味が強いです。

 

それでは、「と」を6つのポイントで解説していきます。

1.自然のこと・機械の使い方・道案内・習慣・反復動作を表すときに使う

「Aと、B」で、Aが成立すれば必ずBが起きることを表すので、

自然のこと、機械の使い方、道順、習慣・反復動作を言うときに使います。

春になる、桜が咲きます。(自然)

ボタンを押す、ジュースが出ます。(機械の使い方)

右に曲がる、銀行があります。(道案内)

お酒を飲む、すぐに寝てしまいます。(習慣)

この曲を聞く、昔の恋人を思い出します。(反復動作)

 

2.仮定条件ではなく、一般条件を表す

「と」は、「いつも起こる」という一般条件を表します。

起こるか起こらないかわからない仮定条件には使いません

  • 一般条件:いつもその事態が起こる
  • 仮定条件:実際に起こるかどうかわからない

 

 右に曲がる、銀行があります。(一般条件)

× 宝くじが当たる、車を買います。(仮定条件)

たのすけ
たのすけ
仮定条件のときは、「たら」を使いましょう。

 

3.後件に意志表現の文は使うことができない

「と」は、後件に意志表現の文をとれません。

意志表現とは、希望・勧誘・依頼・命令・許可などのことを言います。

 

以下の例文は、すべて×です。

× 春になる、桜を見に行きたいです。(希望)

× 春になる、桜を見に行ってください。(依頼)

× 春になる、桜を見に行きませんか。(勧誘)

× 春になる、桜を見に行こう。(意志)

 

4.話し言葉にも書き言葉にも使う

「と」は、話し言葉にも書き言葉にも使えます。

 

5.前件と後件のつながりが強い

「と」は前件と後件のつながりが強く、連続性の動作のときに使います。

ボタンを押す、ジュースが出ます。

このボタンを回る、音が大きくなります。

 

ボタンを押いた後にジュースが出ることも、ボタンを回した後に音が大きくなることも連続して起こるので、上記の例文は連続性が強い文と言えます。

 

6.過去の場合は、発見・同一人物の連続性・過去の習慣を表す

「と」が過去の文で使われると、発見・同一人物の連続性・過去の習慣を表します。

レストランへ行く、混んでいました。(発見)

妹は家に帰る、すぐに部屋に行きました。(同一人物の連続性)

家に帰る、よくテレビを見ていた。(過去の習慣)

たのすけ
たのすけ
⑥は初級の学生に説明すると混乱するので、教師の知識として覚えておきましょう。

 

条件表現「~と」の導入ポイント

「と」は、仮定条件ではなく一般条件を表します。

後ろのことが発生したきっかけを述べる意味が強く、前件と後件で連続性のある文で導入しましょう。

前の事柄が発生すれば、後ろの事柄がいつも・必ず発生する道案内や機械の使い方で導入するのがおすすめです。

 

以下、導入文の例です。

(道案内)

この道をまっすぐ行く、右に銀行があります。

右に曲がる、スーパーがあります。

(機械の操作)

ボタンを押す、ジュースが出ます。

ボタンを回す、音が小さくなります。

たのすけ
たのすけ
たら」「」「なら」にはない特徴の導入文にしないと、学習者が混乱するので気をつけましょう。

 

【まとめ】「~と」は一般条件でよく使われる

条件表現「と」について意味と用法を解説しました。

 

もう一度、「と」の意味と用法をまとめます。

「と」は、いつも起こる起こるときに使う。機械の使い方や道案内など。

☞条件表現「と」の6つのポイント

  1. 自然のこと、機械の使い方、道案内、習慣的なことを表すときに使う
  2. 仮定条件ではなく、一般条件を表す
  3. 後件に意志表現の文を使うことはできない
  4. 話し言葉にも書き言葉にも使う
  5. 前件と後件のつながりが強い
  6. 過去の場合は、発見、同一人物の連続性、過去の習慣を表す
たのすけ
たのすけ
学習者に「と」の説明をするときは、①~④のポイントを説明するといいと思います。

 

 

以上、たのすけでした。

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