「先生、『たら』と『ば』は何が違いますか?」
学習者からこんな質問があったり、
「春になると、桜を見に行きたいです」・・・あれ?なんか日本語に違和感が・・・
こんなこと思っていませんか?
条件を表す「と」「ば」「たら」「なら」の違いについて「難しい!!」と思う学習者は多いですが、
日本語教師の方でも、「と」「ば」「たら」「なら」の違いについて考えたり、悩んだりしていませんか?
この記事では、「と」「ば」「たら」「なら」の違いについて、8つのポイントから解説しています。
正しい文なのか非文なのか、例文をもとに解説しているので、わかりやすいと思います。
「と」「ば」「たら」「なら」は学習者からも質問が出やすいので、頭の中を整理しておきましょう!
目次
条件表現「と」「ば」「たら」「なら」の違い一覧
まずは、「条件」という言葉の意味について確認しておきましょう。
条件文とは、前件が原因・きっかけになって、後件を制約している文のことです。
条件を表す文法に、「と」「ば」「たら」「なら」があります。
「と」「ば」「たら」「なら」の違いについて、下記の表にまとめました。(番号は、解説する番号です)

それでは、「と」「ば」「たら」「なら」の違いについて、8つのポイントを詳しく解説していきます。
「と」「ば」「たら」「なら」が非過去のとき
まずは、非過去(現在形)の場合について、4つのポイントを説明します。
1.仮定条件
仮定条件とは、実際に起こるかどうかわからない条件を言います。
「と」だけ、仮定条件を表せません。
× お金があると、旅行に行きます。
〇 お金があれば、旅行に行きます。
〇 お金があったら、旅行に行きます。
〇 お金があるなら、旅行に行きます。
2.一般条件
一般条件とは、いつも・必ず起こる条件を言います。
〇 春になると、桜が咲きます。
〇 春になれば、桜が咲きます。
△ 春になったら、桜が咲きます。
× 春になるなら、桜が咲きます。
3.文末に意志表現がとれる
「と」は文末に意志表現がとれません。
意志表現とは、希望(~たいです)・依頼(~てください)・命令(~なさい)・許可(~てもいいです)などのことです。
× 春になると、桜を見に行きたいです。
× 春になれば、桜を見に行きたいです。※例外あり、下記参照
〇 休みが取れたら、旅行に行きたいです。
〇 休みが取れるなら、旅行に行きたいです。
「ば」は、基本的に文末に意志表現はとれません。
ただし、意志表現がとれるときがあります。
それは、「ば」が状態を表す言葉(ある・いる・要る・ている)、可能動詞、形容詞につくときは、文末に意志表現がとれます。
〇 質問があれば、聞いてください。
〇 パソコンが安ければ、買おう。
※「ば」はこのように例外があるので、一番最初の表では△になっています。
「と」「ば」「たら」「なら」の過去のとき
過去の場合について、3つのポイントを説明します。
4.発見
発見の意味は、「と」「たら」しか使えません。
〇 駅に行くと、人がたくさんいた。
× 駅に行けば、人がたくさんいた。
〇 駅に行ったら、人がたくさんいた。
× 駅に行くなら、人がたくさんいた。
5.過去の習慣
過去の習慣の意味は、「と」「ば」しか使えません。
〇 夏になると、よく海に泳ぎに行きました。
〇 夏になれば、よく海に泳ぎに行きました。
× 夏になったら、よく海に泳ぎに行きました。
× 夏になるなら、よく海に泳ぎに行きました。
6.1回きり・偶然・きっかけ
1回きり・偶然・きっかけの意味は、「と」「たら」しか使えません。
〇 宝くじを買うと、100万円が当たった。
× 宝くじを買えば、100万円が当たった。
〇 宝くじを買ったら、100万円が当たった。
× 宝くじを買うなら、100万円が当たった。
7.動作の連続性
動作の連続性の意味は、「と」しかありません。
〇 弟は家に帰ると、寝てしまった。
× 弟は家に帰れば、寝てしまった。
× 弟は家に帰ったら、寝てしまった。
× 弟は家に帰るなら、寝てしまった。
「と」「ば」「たら」「なら」で非過去か過去か、どちらでもよい
8.前文と後文の時間的前後関係が必要
前後関係が必要な場合は、前件が起こった後に、後件が起こります。(前件→後件)
「なら」以外は、前件と後件で時間的に前後関係が必要です。
以下の例文は前後関係が必要な文なので、「なら」以外は×です。
× 北海道に行くと、飛行機が一番安い。
× 北海道に行けば、飛行機が一番安い。
× 北海道に行ったら、飛行機が一番安い。
〇 北海道に行くなら、飛行機が一番安い。
「と」「ば」「たら」「なら」の特徴
「と」「ば」「たら」「なら」のそれぞれの特徴で、特に覚えておきたい特徴を紹介します。
詳しくは別記事にかいています。
- 機械の使い方、道案内を表すときに使う
- 一般条件を表す
- 後件に意志表現の文を使うことはできない
- 話し言葉にも書き言葉にも使う
詳しくはこちら≫条件「と」の意味と用法をわかりやすく解説
- 一般条件を表すことが多い
- 動作動詞のときは、文末に意志表現が使えない
- 状態を表す言葉のときは、文末に意志表現が使える
- 話し言葉や書き言葉で使われる
- 教えてもらうとき、相談するときによく使う
詳しくはこちら≫条件「ば」の意味と用法をわかりやすく解説
- 仮定条件を表す(確定条件にも使える)
- 後件の文末に意志表現を使うことができる
- 話し言葉である
- 文末が過去形のときは、条件の意味ではなく発見の意味になる
詳しくはこちら≫条件「たら」の意味と用法をわかりやすく解説
- 仮定条件を表す
- 前件と後件の間に、時間的前後関係が必要ない
- 文末に意志表現がとれる
- 書き言葉にも話し言葉にも使える
- 主題(トピック)、相手の話を受けてアドバイスを言うときに使う
詳しくはこちら≫「なら」の意味は主題?条件?わかりやすく解説
【まとめ】「と」「ば」「たら」「なら」は、それぞれの特徴を押さえておこう!
「と」「ば」「たら」「なら」の違いについて、解説しました。
もう一度、違いを一覧で確認しておきましょう。

もし、学習者がどんな文法を難しいと感じるているのが分かれば、事前に準備ができますよね・・・!
それは、こちらでお届けしています。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。