「学習者が『嬉しい』と『楽しい』を間違えて使っている。どう説明したらいいんだろう…」
日本語教師の方、そんな疑問を持っていませんか?
「嬉しい」と「楽しい」は意味が似ているので、間違えて使ってしまう学習者も多いです。
日本語教師としては、「嬉しい」と「楽しい」の違いについて理解し、学習者に説明できるようにしておきたいですよね。
この記事では、「嬉しい」と「楽しい」の違いについて解説しています。
どんなときに〇で、どんなときに×なのかを例文で解説しているので、わかりやすいと思います。
まだ「嬉しい」と「楽しい」の違いが曖昧だ…という日本語教師の方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
目次
「嬉しい」と「楽しい」の違い
「嬉しい」と「楽しい」の違いが一発でわかる例文
昨日のパーティーで久しぶりに友達に会えて、嬉しかった。
パーティーで友達とおしゃべりをしたり、お酒を飲んだりして、楽しかった。
学習者には、上記の例文で説明するのがわかりやすいと思います。
「嬉しい」は、友達に会えた時の気持ちです。(一時的な気持ち)
「楽しい」はパーティーの雰囲気です。(継続する気持ち)
それでは、詳しく解説していきます。
3つのポイントで「嬉しい」と「楽しい」の違いを解説
「嬉しい」と「楽しい」の違いについて、詳しく例文で説明します。
1.その時の気持ちを表すなら、「嬉しい」
試験に合格して、(〇嬉しい ×楽しい)。
「嬉しい」は、その時の喜んでいる気持ちを表します。「楽しい」には喜んでいる気持ちを表す意味はありません。
2.その場の雰囲気を表すなら「楽しい」
昨日のパーティーは(×嬉しかった 〇楽しかった)。
「楽しい」には、その場の雰囲気が明るくて気分がいいことを表します。「嬉しい」には、雰囲気を表す意味はありません。
3.人や物の性質を表すなら「楽しい」
田中さんは(×嬉しい 〇楽しい)人だ。
私は明るくて(×嬉しい 〇楽しい)音楽が好きだ。
「楽しい」には、雰囲気だけじゃなくて、人や物の性質を表せて、「楽しい雰囲気を持っている」ときに使えます。「嬉しい」には、その意味はありません。
「嬉しい」と「楽しい」の意味を詳しく解説
「嬉しい」の意味
「嬉しい」は、何かの出来事によって引き起こされる喜びの気持ちを表します。この気持ちは、一時的なものです。
「嬉しい」の例文
- 試験に合格して、嬉しい。
- 好きな人に告白されて、嬉しい。
- 久しぶりに恋人に会えて、嬉しい。
- お客様に「ありがとう」と言われて、嬉しい。
- プレゼントをもらって、嬉しかった。
「楽しい」の意味
「楽しい」は、その場の雰囲気に使います。「嬉しい」のように一時的な気持ちではなく、継続して感じられるものです。
ある状況の性質を表せるので、「楽しい雰囲気を持っている」人や物にも使えます。
「楽しい」の例文
- 昨日のカラオケは楽しかった。
- 飲み会は楽しいので、好きだ。
- 友達と一緒に遊ぶのは楽しい。
- サッカーをするのは楽しい。
- 楽しいパーティーだった。
- 田中さんは明るくて楽しい人だ。
- 怖い映画より、楽しい映画が好きだ。
注意事項
「嬉しい」も「楽しい」も個人の感情を表すので、第三者には使えません。
× 友達は試験に合格して、嬉しい。
自分以外にの人に使いたいときは、
〇 友達は試験に合格して、嬉しそうだ。
という風に、様態の「そうです」を使ったり、
〇 友達は試験に合格して、嬉しいと思う。
という風に、推量の「~と思います」を使います。
【補足】意味による形容詞の分類|「嬉しい」と「楽しい」に違いはある?
意味による形容詞の分類については、文法の知識として覚えておくといいかもしれません。
学習者への形容詞の分類は「イ形容詞」と「ナ形容詞」の2種類と説明していますが、実は意味によって形容詞を2つに分類できるんです。
それは、「感覚・感情形容詞」と「属性形容詞」です。
「感覚・感情形容詞」とは、感情や感覚を表す形容詞です。
「属性形容詞」とは、人や物の性質(属性)を表す形容詞です。
日本語文法の観点から考えると、「嬉しい」は感覚・感情形容詞、「楽しい」は属性形容詞になります。
まとめ
「嬉しい」と「楽しい」の違いについて解説しました。
もう一度、重要なところをまとめます。
嬉しい:何かの出来事によって引き起こされる喜びの気持ち。一時的なもの。
楽しい:その場の雰囲気に使う。継続して感じられるもの。
学習者へは、次の例文で説明してみてください。
昨日のパーティーで久しぶりに友達に会えて、嬉しかった。(一時的な気持ち)
パーティーで友達とおしゃべりをしたり、お酒を飲んだりして、楽しかった。(継続する気持ち)
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。