日本語の教案

「可能形」と「~ことができる」は同じ?違う?|日本語文法の基礎知識

「先生、『可能形』と『~ことができる』は同じですか?」

と学習者に聞かれたら、あなたはどう答えますか?

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

「可能形」と「~ことができる」は、学習者にとっては意味的にはあまり難しくありません。

学習した後、比較的すぐに使えるようになる表現です。

ですが、学習者から違いについて質問されることが多いんです・・・!

「みんなの日本語」の教科書では、「~ことができる」(18課)を学習した後に、「可能形(可能動詞)」(27課)を学習するので、その時によく聞かれることが多いです。

 

この記事では、以下のことを考えていきたいと思います。

  • 「可能形」と「~ことができる」の意味は同じ?違う?
  • 違うなら、学習者にはどうやって説明すればいい?

 

「可能形」と「~ことができる」の違いを3つ紹介します

「可能形」と「~ことができる」は、意味は同じですが、まったく同じではありません。

その違いについて、ポイントを3つ紹介します。

話し言葉or書き言葉

「可能形」は話し言葉に使われることが多く、「~ことができる」は書き言葉で使われることが多いです。

「知ってる?キムさん日本語が話せるんだって!」

「知ってる?キムさん日本語を話すことができるんだって!」

 

どうでしょうか・・・?

会話のときは「~ことができる」を使うとちょっと長いですよね。

可能形を使った方がしっくりくるかと思います。

たのすけ
たのすけ
私自身、会話のときは「可能形」を使って話しています。話すときは短い方がいいですよね!

 

フォーマルorインフォーマル

先ほど、「可能形」は話し言葉で使われることが多く、「~ことができる」は書き言葉で使われることが多いと紹介しました。

このことからも、「可能形」はインフォーマルな場面(日常生活)で使われることが多く、「~ことができる」はフォーマルな場面で使われることが多いです。

たのすけ
たのすけ
「~ことができる」を使った方が、硬く聞こえますよね。

 

どんな動詞と一緒に使われる?

「可能形」は、話し言葉・インフォーマルな場面で使われる特徴があるように、日常生活で使う動詞のときは「可能形」が使われやすいです。

日常生活で使う動詞とは、食べる・飲む・買う・書く・行く、などです。

 

「~ことができる」は、書き言葉・フォーマルな場面で使われる特徴があるように、論理的な動詞と一緒に使われやすいです。

論理的な動詞とは、述べる・まとめる、などです。

Ⅱグループの動詞とⅢグループの動詞は、可能形と受身形が同じなので、混乱しないように「~ことができる」が使われることもあります。

 

学習者への説明はどうする?

「可能形」と「~ことができる」は、意味は同じですが、使われ方が微妙に違うことがわかりました。

では、学習者への説明はどうしたらいいでしょうか?

 

「可能形」や「~ことができる」を学習するのは、初級なので、この段階では、あまり難しい説明はしなくていいと思っているので、たのすけは以下のような説明をします。

  • 可能形:話し言葉、日常会話で使う
  • ~ことができる:書き言葉、フォーマルな場面で使う
たのすけ
たのすけ
説明はシンプルにこのぐらいでいいと思っています。

 

【まとめ】学習者への説明は簡潔に!

「可能形」と「~ことができる」の違いについて、ポイントを3つ紹介しました。

  • 可能形:話し言葉、インフォーマルな場面で使われる、日常で使う動詞と一緒に使われる
  • ~ことができる:書き言葉、フォーマルな場面で使われる、論理的な動詞と一緒に使われる
たのすけ
たのすけ
これらは「絶対」ではなく、「そういう傾向がある」ということです。

 

細かい部分を見ていくと、「可能形」と「~ことができる」は、紹介した以外にも違いはあります。

その他の違いについては、こちらに「可能形」と「~ことができる」の違いが考察されているので、よかったら参考にしてみてください。

 

以上、たのすけでした。

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