学習者が
「『コーヒーのかわりに紅茶を飲む』と『コーヒーにかわって紅茶を飲む』は同じですか?どちらもいいですか?」
と質問をしてきました。
さて、あなたは学習者に何と答えますか?
この記事では、代理・代用の「~かわりに」と「~にかわって」の違いについて、置き換えOKな場合と置き換えNGの場合を紹介しています。
(たのすけの考察が含まれている部分もあります)
冒頭の質問に何て答えよう・・・と思ったのなら、ぜひこの記事を読んでみてください。
目次
「~かわりに」と「~にかわって」の違い
「~かわりに」「~にかわって」が置き換えOKな場合
「~かわりに」と「~にかわって」で置き換えOKなのは、「Aが普通だけど/本来・今まではAだけど、その役割をBがする」の意味のときです。
つまり、Aの代理をBがする・Aの代用をBがする、AとBを交代する、の意味のときは、「~かわりに」「にかわって」のどちらもOKです。
- 今日は田中先生がお休みなので、田中先生(〇のかわりに 〇にかわって)、木村先生が授業をします。
- 出張中の部長(〇のかわりに 〇にかわって)、私が挨拶します。
- 風邪で寝ている母(〇のかわりに 〇にかわって)、父が料理や洗濯をしてくれた。
- 昔はケータイでメールを送っていたが、今はメール(〇のかわりに 〇にかわって)、LINEがよく使われている。
- 個人商店(〇のかわりに 〇にかわって)、コンビニが多くなった。
置き換えできる場合、じゃあ何か違いはあるのかな?と疑問に思いますよね。
「~かわりに」よりも「~にかわって」のほうが硬い表現なので、
話すときは「~かわりに」、書くときは「~にかわって」が使われやすいと説明するといいと思います。
「~かわりに」「~にかわって」が置き換えNGの場合
「~かわりに」と「~にかわって」の置き換えがNGなのは、一時的に単に代用するときです。
つまり、代用は「~かわりに」はOKですが、「~にかわって」はNGです。
- 車で来たので、ビール(〇のかわりに ×にかわって)ジュースをください。
- チキンカレーが好きです。でも、鶏肉がないので、鶏肉(〇のかわりに ×にかわって)豚肉で作ります。
代理・交代の場合は、一時的でも、「~かわりに」「~にかわって」のどちらもOKです。
- ピッチャー田中君(〇のかわりに 〇にかわって)、鈴木君。
- 部長が5分遅れるそうです!課長、部長が来るまで、部長(〇のかわりに 〇にかわって)、話をしていただけませんか?
冒頭の例文は?具体的な場面で考えてみよう!
同じ代理・代用の意味でも、
- 「Aが普通だけど/本来・今まではAだけど、その役割をBがする」のとき、つまり「もともと/いつもはAだけど、今回はBで代理・代用・交代する」のときは、どちらもOK。
- 一時的に代用するとき、「たまたま今回はAじゃなくて、今回はその役割をBがする」のときは、「~にかわって」を使うことができない。
ということでした。
では、冒頭の例文はどちらでしょうか・・・?
- コーヒーのかわりに紅茶を飲む。
- コーヒーにかわって紅茶を飲む。
これだけだと、普段からコーヒーを飲んでいるのかどうかわかりません。
ですので、どちらの例文も〇だと言えます。
もう少し場面を設定をしてみましょう!
【場面①】
A:何飲む?
B:コーヒーが好きだから、いつも本日のコーヒーにするんだ。今日も本日のコーヒーにする!
A:あれ?本日のコーヒーは売り切れだって!
B:え、そうなの。いつもは本日のコーヒーだけど、今日はコーヒー(〇のかわりに 〇にかわって)紅茶を飲んでみようかな。
【場面②】
A:何飲む?
B:うーん、どれにしようかな。あ、この本日のコーヒーおいしそう。コーヒーにする。
A:あれ?本日のコーヒーは売り切れだって!
B:え、そうなの。じゃあコーヒー(〇のかわりに ×にかわって)紅茶にしようかな。
今度はより詳しい場面になりました。
場面①では、いつも本日のコーヒーを頼んでいるけど、今回はなかったので、いつもと違う紅茶を頼みました。
ですので、「普通(本来)はコーヒーだけど、今回は紅茶にする」という意味なので、「~かわりに」も「~にかわって」もどちらもOKです。
場面②では、Bさんはいつも本日のコーヒーを頼んでいるわけではなく、おいしそうだから本日のコーヒーにしました。
でも、今回たまたま売り切れていたので、紅茶で代用しました。
ですので、「~かわりに」はOKですが、「~にかわって」はNGです。
【まとめ】一時的な代用のときは「~かわりに」だけ!
代理・代用の「~かわりに」「~にかわって」の違いについて紹介しました。
もう一度まとめます。
代理 | 代用 | 交代 | |
~かわりに | 〇 | 〇 | 〇 |
~にかわって | 〇 | × | 〇 |
- 一時的な代用のときは「~かわりに」だけしか使えない。(例)車で来たので、お酒(〇のかわりに ×にかわって)、ジュースを飲みます。
- 「Aが普通だけど/本来・今まではAだけど、その役割をBする」のときは、置き換えできる。(例)今日は田中先生がお休みなので、田中先生(〇のかわりに 〇にかわって)、木村先生が授業をします。
- 「~かわりに」は、代理・代用・交代の意味があるが、「~にかわって」は、代用の意味がない。
- 「~かわりに」よりも「~かわって」の方が硬い表現。話し言葉では「~かわりに」、「書き言葉では「~にかわって」が使われやすい。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。