日本語の教案

「~たことがある」と 「~ことがある」の違いは?|日本語文法の基礎知識

「先生、『行ったことがある』と『行くことがある』は何が違いますか?」

こんなことを学習者から聞かれたら、どう答えますか?

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

「行ったことがある」と「行くことがある」のように、接続だけが違う場合、学習者から違いについて聞かれることが多いです。

この記事では、「~たことがある」と「~ことがある」の違いについて紹介しています。

 

「~たことがある」の意味

「~たことがある」は、過去の経験を表します。

  • 富士山に登ったことがあります
  • フランスへ行ったことがあります
  • バングラディシュ料理を食べたことがあります
たのすけ
たのすけ
経験していない場合は、「~たことがない」を使います。

 

「~ことがある」の意味

「~ことがある」は、時々する習慣や、いつもではないですが、「そうなる場合がある(可能性)」ことを表します。

  • 暇なとき、一人でカラオケに行くことがあります
  • 週末は外食することがあります
  • 夫が料理をすることがあります

 

「~たことがある」と「~ことがある」の違いは?

「~たことがある」と「~ことがある」の違いについて、3つのポイントを見ていきます。

接続の違い|Vタ形vsV辞書形

「ことがある」の部分は同じですが、接続が違います。

  • ~たことがある:Vタ形+ことがある
  • ~ことがある:V辞書形/Vナイ形+ことがある

 

過去だけ?現在も表せる?

「~たことがある」は経験なので、過去のことにしか使えません。

「~ことがある」は習慣の意味があるので、(近い過去~)現在のことに使います。

アメリカへ出張したことがあります。(過去にアメリカへ出張へ行った)

アメリカへ出張することがあります。(今もアメリカへときどき出張へ行く)

たのすけ
たのすけ
どちらの文も〇ですが、Vタ形とV辞書形で意味が異なるので、注意です!

 

1回だけ?複数回?

「~たことがある」は、1回経験していれば使うことができます。

「~ことがある」は、1回だけでは使うことができません。習慣の意味があるので、何回か経験したことに使います。

〇 アリカへ一度出張したことがあります

× アメリカへ一度出張することがあります

上記の例文は、「アメリカへときどき出張することがあります」にすれば、使うことができます。

たのすけ
たのすけ
「~たことがある」は、たくさん経験している場合は使えません。詳しくは、こちらをどうぞ。

 

学習者に違いをどうやって説明する?

「~たことがある」と「~ことがある」の意味には違いがあることがわかりました。

では、学習者にどうやって説明すればいいのかを考えていきたいと思います。

説明は「シンプルな言葉」が基本です。

  • ~たことがある:前、したこと。経験(experience)。

(例)富士山に登ったことがあります

  • ~ことがある:今、きどきすること。習慣(habit)。

(例)週末は外食することがあります

たのすけ
たのすけ
学習者に説明する言葉は学習者の日本語レベルに合わせて変えましょう。

 

【まとめ】接続によって意味が変わる!

「~たことがある」と「~ことがある」の違いについて説明しました。

もう一度まとめます。

☞「~たことがある」と「~ことがある」の違い

  • 意味:~たことがある→経験、~ことがある→習慣
  • 接続:Vタ形かV辞書形・Vナイ形か
  • 「~たことがある」は、過去のことしか表せない。
  • 「~ことがある」は、何回か経験していないと使えない。
たのすけ
たのすけ
接続が違うだけで形が同じ文法は、違いについて質問されることがあります事前に違いについて調べて、答えられるようにしておくと安心ですよね。

 

以上、たのすけでした。

日本語教師向けのまとめ記事一覧

日本語教師のまとめ記事はこちら

日本語教師になりたい方向けのまとめ記事
授業のやり方や教え方で悩んでいる日本語教師の方向けのまとめ記事
【完全保存版】日本語授業のやり方や教え方がわかるまとめ記事
働き方で悩んでいる日本語教師の方向けのまとめ記事

日本語教師たのすけです。

恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。

詳しいプロフィールはこちら