学習者から、「先生、「シャワーを浴びないで寝ることがある」「シャワーを浴びないで寝ることもある」の違いは何ですか?」と聞かれたら、どう答えますか?
学習者は「~ことがある」と「~こともある」の違いについて質問をしてきました。
日本語は似ている文法が多いので、ややこしいですよね・・・!
冒頭で聞かれたような質問をされたらどう答えればいいのでしょうか?
冒頭の質問に何て答えよう…と思ったのなら、ぜひこの記事を読んでみてください。
この記事を読めば以下の疑問が解決します。
目次
「~ことがある」「~こともある」の用法
まずは用法について確認した後に、違いについて紹介します。
接続
V辞書形・Vナイ形/+ことがある・こともある
経験を表す「~たことがある」とは別の文型なので、注意してくださいね。
(例)私はアメリカへ行ったことがあります。
意味
- いつもではないが、ときどき~する。(習慣)
- そうなる場合がある。(可能性)
注意事項
頻度が多いことには使えません。
× 弟とよく喧嘩することがあります。
〇 弟とよく喧嘩します。
例文
- バスは遅れることがあります。だから、電車のほうがいいです。
- 仕事が終わった後、お酒を飲みに行くことがあります。
- 花粉症の薬を飲むと、眠くなることがあります。
- まれに頭が痛くなることがあります。
- 心配なことがあると、たまに眠れないことがあります。
- 乾期は1カ月以上雨が降らないことがあります。
- いつも料理を作りますが、疲れているときは、お弁当を買うこともあります。
- 先生でも日本語の文法を説明できないこともあります。
- 毎朝6時に起きますが、ときどき起きられないこともあります。
- 時間がないときは、朝ご飯を食べないこともあります。
「~ことがある」と「~こともある」の違い
たのすけが調べた文法書には、「~ことがある」と「~こともある」の違いについて書かれているものはありませんでした。
なので、冒頭の学習者の質問には、「同じです」と回答していいと思います。
ですが、言い方が2通りあると何が違うんだろう…と思ってしまいますよね。
たのすけ自身は、助詞「が」と「も」の違いで、ニュアンスが異なると思います・・・!
その微妙なニュアンスの違いについて見解を述べたいと思います。
「~ことがある」の特徴
助詞「が」の用法として、「が」の前を強調する用法がありますよね。
ですので、「~ことがある」の「~」の部分を強調するニュアンスになると思います。
バスは遅れることがあります。だから、電車のほうがいいです。
「~こともある」の特徴
「も」には、取り立て助詞の役割があります。
取り立て助詞を付け加えると、その事柄に特別な意味を与えたり、話し手の捉え方を表すことができます。
取り立て助詞には、前提を含むことができます。
「例えば、朝ご飯にパンも食べました」と言うと、パン以外の物も食べたという前提を含みます。
このことから、「~こともある」の方が、「そういうこともある/そうじゃないこともある」というニュアンスになると思います。
時間がないときは、朝ご飯を食べないこともあります。
上記の例文は、「時間がないときは、ときどき朝ご飯を食べないこともあるけど、食べることもあるよ」というニュアンスになると思います。
「~こともある」を使った方がいい場合
「~こともある」を使った方がしっくりくる場合があるので、紹介します。
並列のとき
「も」には並列の意味があるので、並列の意味があるときは、「~こともある」を使った方がしっくりきます。
? 疲れているときはお弁当を買うことがあるし、外食することがあります。
〇 疲れているときはお弁当を買うこともあるし、外食することもあります。
前提を述べたとき
前提を述べたときは、「~こともある」を使った方がしっくりくると思います。
〇 いつもは自分で料理を作りますが、疲れているときは、お弁当を買うことがあります。
◎ いつもは自分で料理を作りますが、疲れているときは、お弁当を買うこともあります。
「いつもは自分で料理を作る」という前提があるので、「ことがある」よりも「こともある」の方がしっくりくる気がします。
同じ例文でニュアンスの違いを比べてみよう!
以上のようなニュアンスの違いを、冒頭の例文で比べてみます。
- シャワーを浴びないで寝ることがあります。→「シャワーを浴びないで寝る」を強調している。
- シャワーを浴びないで寝ることもあります。→シャワーを浴びないで寝ることもあるけど、そうじゃないこともあるよ、と言っている。(たまにシャワーを浴びないで寝ることもあるよ、と暗示している)
学習者に「~ことがある」と「~こともある」のニュアンスの違いを説明する?
最初にお伝えした通り、調べた文法書には「~ことがある」と「~こともある」の違いについて書かれている文法書はなかったので、
学習者に「~ことがある」と「~こともある」のニュアンスの違いは説明しなくていいと思います。
説明するのなら、並列の意味のときは「~こともある」を使う、ぐらいでいいかと思います。
【まとめ】意味は同じだけど、ニュアンスが異なる!
「~ことがある」と「~こともある」の違いについて紹介しました。
もう一度まとめます。
- 「~ことがある」と「~こともある」は同じ。置き換えOK。
- 並列の意味があるときは、「~こともある」を使った方がいい。(例)疲れているときは、お弁当を買うこともあるし、外食することもあります。
このように似ている文法があると、どこが違うのかな…?と気になってしまいますよね。
私もそうですが、日本語教師の方は、このような微妙な違いが気になってしまうのではないでしょうか。
ですが、微妙なニュアンスなど学習者が混乱してしまうことは、あえて言わなくてもいいと思うので、学習者に言うべきこと言わなくてもいいことを取捨選択するといいのかなと思います。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。