日本語の教案

様態「~そうです」の意味用法|学習者が間違えやすい3つのポイント

様態の「~そうです」は学習者にとって比較的わかりやすい文法です。

しかし、簡単だからこそ、間違えやすいポイントがあります!あなどっちゃいけませんよ!

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

この記事では、様態「~そうです」の意味用法と、習者が間違えやすいところも紹介しています。

様態「~そうです」は学習者にとってわかりやすくても、注意点もあるので、しっかり把握しておきましょう。

 

様態「~そうです」の用法

接続

イA~い+そうです
ナA+そうです
Vマス形+そうです

たのすけ
たのすけ
動詞の場合は、状態性の動詞(ある、ない)にも接続します。

 

意味

見て、そう思うときに使う。(外観から受ける「感じ」を表す)

 

例文

  • このケーキ、おいしそうですね!
  • 田中さん、そうですね。昨日は何時に寝たんですか?
  • 天気がよさなので、出かけましょう。
  • 気分がそうですね。大丈夫ですか?
  • キムさんの彼はやさしそうです
  • この荷物を運ぶのは大変そうです
  • 田中さん、そうですね。手伝ってもらえませんか?
  • そのスーツケースは大きくて、便利そうです
  • 田中さんはお金がありそうです。家も大きいし、車を3台も持っています。

 

ポイント

外観から見てわかるものには使えない

外観からみて、明らかに状態を表すものには使えない。(例)きれい、かわいい、ハンサム、有名、赤い、黒い

× このシャツはそうです

× 田中さんはハンサムそうです

 

感覚や感情を表す言葉は、自分には使えない

感覚や感情を表す形容詞は、自分には使えません。

× 私はうれしそうです

〇 私はうれしいです。

 

自分以外の人の感覚や感情を表すときは「~そうです」をつけなければなりません。

× 田中さんはうれしいです。

〇 田中さんはうれしそうです

 

否定形の作り方は2通りある

否定形の作り方は、「~そうです」の前を否定にする場合と、後ろを否定にする場合があります。

このケーキはおいしくなさそうです

このケーキはおいしそうじゃありません

どちらも意味は同じです。厳密に言うと、前を否定する「~なさそうです」の方が、外観を見て直感的に判断するときに使います。

 

「~そうじゃありません」は、誰かが言ったことなど、会話の中で否定するときに使われます。

A:見て!初めてハンバーグを作りました!おいしそうでしょう?

B:(見た目がぐちゃぐちゃで)うーん、おいしそうじゃないかなぁ・・・。

 

名詞には接続しない

様態の「~そうです」は名詞には接続しません。

× 喫茶店は今日お休みそうです

 

ナ形容詞と同じ変化をする

「~そうです」はナ形容詞と同じ変化をします。

おいしそうな料理ですね。(~そうな+名詞)

子供は楽しそうに遊んでいます。(~そうに+動詞)

 

学習者が間違えやすい3つのポイント

見てわかるものに「~そうです」を使ってしまう(例)きれいそうです。

様態「~そうです」は、外観から見てわかるものには使いません。学習者の誤用が出やすいところです。

× 田中さんの奥さんはきれいそうです

「~そうです」は、見て「感じ」がするときに使います。上記の例文は、「田中さんの奥さんはきれいです」と言うのが正しいです。

 

「可哀そうです」が様態の意味だと思ってしまう

学習者から「よく日本人やドラマで『かわいそうです』と聞きます。どうしてですか?」と質問がある場合があります。

この場合、「可愛い+そう」ではなく、「可哀そう」という一つの形容詞です。様態の「~そうです」の文法ではありません。

学習者の耳に「かわいそう」という言葉が印象に残っており、様態の「~そうです」と勘違いをした間違えです。

たのすけ
たのすけ
耳がいい学習者ほど、このような質問が出ます。

 

伝聞「~そうです」の意味と混同してしまう

「~そうです」は意味が4つあります。その中でも「伝聞」の意味と混同しやすいです。

駅前のラーメン屋はおいしいそうです。(伝聞)

このラーメン、おいしそうです。(様態)

 

意味以外で見分けるポイントは「接続」です。

伝聞:普通形+そうです

様態:イA~い+そうです、ナA~な+そうです、Vマス形+そうです

 

伝聞の用法についてはこちら≫伝聞「~そうです」の意味用法|導入ポイントと様態の意味との見分け方は?

 

まとめ

様態「~そうです」の意味用法について解説しました。

様態の「~そうです」は学習者にとってわかりやすい文法で、すぐに使えるようになります。

おいしそうな料理の写真を見せて「おいしそうです」と導入したり、高級車を見せて「高そうです」と導入したり、導入も難しくありません。

 

しかし、簡単だからこそ、見てわかるものには使えない、自分には使えないなど、注意すべきポイントもあるので、気をつけましょう。

 

以上、たのすけでした。

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