日本語の教案

伝聞「~そうです」の意味用法|導入ポイントと様態の意味との見分け方は?

「~そうです」は用法がいくつかあって、学習者の間違えや質問も出やすいところです。

この記事では、伝聞「~そうです」の用法についてまとめました。

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

この記事を読めば、以下のことがわかります。

  • 伝聞「~そうです」の接続・意味・ポイント
  • 伝聞「~そうです」の例文
  • 伝聞「~そうです」の導入ポイント
  • 伝聞と様態「~そうです」を見分けるポイント

上記のことが知りたいなら、ぜひこの記事を読んでみてください。

 

伝聞「~そうです」の用法

接続

普通形+そうです

 

意味

人から聞いたり、雑誌や本で読んだり、テレビで見たりしたことを、他の人に伝える。

 

例文

  • 田中さんの子供は、来年大学生になるそうです
  • 明後日、動詞のテ形のテストがあるそうだよ!
  • キムさん、先月国へ帰ったそうですね。ご家族は元気でしたか?
  • A:あれ?田中さんは? B:寝坊して、電車の時間に間に合わなかったそうですよ。
  • 田中さんは最近、仕事が忙しいそうですよ。
  • 昨日のパーティーは楽しかったそうですね。私も行きたかったなぁ。
  • 田中さんの話によると、部長の奥さんはきれいだそうです
  • リーさんはチョコレートが好きだそうです
  • 天気予報によると、明日は雨だそうですよ。
  • 田中さんは来年、アメリカに留学する予定だそうです
たのすけ
たのすけ
人に伝えるときに使うので、「よ」「ね」を一緒に使うことも多いです。

 

ポイント

過去や否定のときは、「~そうです」の部分は変えない

過去や否定のときでも、「~そうです」部分は変えません。

接続が普通形なので、接続部分を過去や否定にします。

× 田中さんは去年アメリカへ行くそうでした

〇 田中さんは去年アメリカへ行ったそうです

 

本人以外から聞いたときにも使える

「~そうです」は「~と言っていました」と違い、本人以外から聞いたときにも使えます

田中さんは来月結婚すると言っていました。(田中さんから直接聞いた)

田中さんは来月結婚するそうです。(聞いたのは、田中さんでも他の人でもよい)

たのすけ
たのすけ
学習者から質問が出るところです。

 

情報源を表すときは「~よると」を使う

話者が聞いた情報源を伝えるときは「~よると」を使います

田中さんによると、鈴木さんは来月結婚するそうです

たのすけ
たのすけ
情報源を表すときは「~の話では」「~から聞いたんだけど」という言い方もできます。

 

テレビやラジオの報道ではあまり使わない

テレビやラジオの事実を伝える報道では、「~そうです」はあまり使われません。

? (テレビのニュースで)昨日、車の事故で人が亡くなったそうです

たのすけ
たのすけ
事実を伝えるときは「~ということです」「~と言っていました」を使います。

 

接続できない後続句がある

「~そうです」は接続できない後続句があります。(後続句:後に続く句)

意向形(~よう)、推量(~でしょう)、命令形、禁止形、依頼には接続できません。

× 田中さんが今晩食事に行こうそうです

× 部長が会議室に来てくださいそうです

 

それ以外の後続句には接続できます。

〇 田中さんは来月、留学するつもりだそうです

 

たのすけ
たのすけ
情報源を表す「~よると」以外のポイントは、教師の知識として把握しておけばいいと思います。初級の段階では、質問や誤用が出たときに説明しましょう。

 

【補足】「伝聞」の表現はいろいろある!

「~そうです」以外にも伝聞表現はたくさんあります。

昨日地震があったらしいです

昨日地震があったと言っていました

昨日地震があったと聞きました

昨日地震があったという。(参考:~という

昨日地震があったとのことです。(参考:~とのことだ

昨日地震があったということです。(参考:~ということだ

昨日地震があったって。(参考:って

たのすけ
たのすけ
知識として知っておきましょう。

 

伝聞「~そうです」の導入ポイントは?

伝聞「~そうです」は、人から聞いたり、雑誌や本で読んだり、テレビで見たりしたことを、他の人に伝える表現なので、「人に伝える」状況を設定して導入するのがおすすめです。

「そうです」の例文

A:昨日、雑誌を読みました。雑誌によると、駅前のABCレストランは人気があるそうです。ハンバーグがおいしいそうですよ。今週の土曜日、一緒に食べに行きませんか?

B:わぁ、いいですね。ぜひ、行きたいです。

 

このように、登場人物が二人いて、情報源があって、その話を誰かに伝えるという状況の導入がわかりやすいと思います。

 

「伝聞」と「様態」の見分け方は?

「~そうです」は、伝聞以外にも様態、予測、直前の意味があります。

意味は違いますが、形や音が似ているので、伝聞と様態の「~そうです」を間違えやすいです

指導のポイントは、2つあります。意味と接続です。

「意味」で見分ける

伝聞:聞いたことを人に伝えるときに使う。

駅前のケーキ屋はおいしいそうです。

駅前のケーキ屋はおいしいそうです

 

様態:見た様子を伝えるときに使う。

このケーキ、おいしそう!

このケーキ、おいしそう

 

「接続」で見分ける

伝聞:普通形+そうです

駅前のケーキ屋はおいしいそうです

田中さんは真面目だそうです

 

様態:イA~い+そうです、ナA~+そうです

このケーキ、おいしそう

田中さんは真面目そうです

たのすけ
たのすけ
接続を間違えやすいので、注意しましょう。

 

まとめ

伝聞「~そうです」の用法を紹介しました。

もう一度確認すると、

伝聞「~そうです」は、人から聞いたり、雑誌や本で読んだり、テレビで見たりしたことを、他の人に伝える。

ときに使います。

たのすけ
たのすけ
伝聞の「~そうです」は意味はわかりやすく、学習者への説明自体はしやすいと思います。

 

「~そうです」は用法が全部で4つ(伝聞・様態・予測・直前)あります。

学習者から質問されたときに答えられるように、他の意味の用法も確認しておきましょう。

 

以上、たのすけでした。

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