「クラスの席順は変えたほうがいいのかな?」
「いつもペア練習が同じ相手なので、練習が単調になっている気がする…」
日本語教師の方、こんな疑問や悩みを持っていませんか?
この記事では、「日本語学校のクラスで席順は自由でいいのか?」という疑問について、私の経験をもとに見解を述べています。
私はクラスの席順について「自由」「教師が決める」「くじ引きで決める」の3つを経験しています。
実際の経験をもとに話しているので、以下のような悩みを持っているなら、ぜひ参考に読んでみてください。
- クラスの席順を変えようか悩んでいる…
- クラスの席順を教師が決めてもいい?メリットはある?
- クラスの席順をくじ引きで決めるのはどう?
目次
日本語学校のクラスで席順は自由でいい?
クラスの席順は「教師が決める」か「くじ引き」がおすすめ!
結論から言うと、私はクラスの席順に関して、
のどちらかがいいと思っています。
どちらにしろ、席は学習者が自由に座るのではなく、定期的に席替えを行ったほうがいいと考えています。
次で、その理由について説明していきます。
クラスの席が自由である3つのデメリット
授業中の席ぐらい自由でいいのでは?と思うかもしれませんが、クラスの席が自由である場合、以下のようなデメリットがあります。
詳しく解説しますね。
同じ国籍同士で固まりやすい
自由に席に座ってもらうと、同じ国籍同士で固まって座りがちです。
わざわざ日本に留学に来たので、せっかくなら国籍を超えて交流したほうがいいと思いませんか?
同じ国籍同士で固まると、つい母語を使ってしまいがちですし、コミュニティも広がりません。
いつも同じ人と隣になり、ペア練習が単調になりやすい
同じ国籍同士で固まって座りがちになると言いましたが、その中でも、仲のいい人同士で隣の席に座ることが多いです。
そうなると、毎回ペア練習が決まった相手になってしまいます。
相手が同じだと、同じような内容の会話になりますし、相手のこともよく知っているので、ただの練習になりやすいです。
あまり知らない相手のほうが、日本語で質問するとき、「知りたい!」という気持ちになって、より現実的に日本語でコミュニケーションをとる練習になります。
いつも後ろの席に座って、サボろうとする学習者が出てくる
やっぱり後ろの席に座ろうとする学習者はいるんですよね。
そういう学習者は、授業中にこっそりスマホで遊んでいたり、ぐで~ってなっていたりするので、注意が必要です。
クラスの席順を「教師が決める」4つのメリット
次に、クラスの席順を教師が決めるメリットについて、解説していきます。
毎回席順を変えれば新しい人とペアを組めて、会話練習が活発になる
毎回同じ人相手に会話練習をすると、どうしても単調になりやすいです。
それから、実際はすでに知っている内容を聞くので、実際のコミュニケーションと異なります。
例えば、以下の会話を見てください。
A:「Bさんの趣味は何ですか?(友達だから知っているよ、映画だよね)」
B:「映画です」
A:「(やっぱりね。確かホラー映画が好きだと思ったけど)どんな映画が好きですか?」
B:「怖い映画です」
A:「そうですか(だよね)」
もし相手のことを知らなければ、「へぇ~」「それで?もっと教えて!」という気持ちにもなるし、実際のコミュニケーションのような会話ができます。
人が違えば、話す内容も違いますし、使う言葉も違います。
同じ人とずっと会話練習をするよりも、いろんな人と会話練習をしたほうが、勉強になります。
いろんな人と話したほうがいいのは、中級以上のクラスでも同じです。
中級以上になると、日本語で話せることが増えます。
だからこそ、いろんな人と話したほうが、違う考えに触れたり、いつもと違う話題で話せたりして、勉強になることが多いと思います。
ペアを組む学習者のレベルを合わせられる
これは考え方によるのですが、教師が席順を決めれば、同じぐらいの日本語力レベルの学習者でペアを組ませられるメリットがあります。
なぜ同じぐらいのレベルでペアを組んだほうがいいのかというと、日本語力に差があると、ペア練習をしてもペア練習にならない場合があるからです。
例えば、できる学習者とできない学習者がペアを組むと、できない学習者が突っかかりすぎて、練習にならないなどです。
逆の考えでは、できる学習者ができない学習者をフォローできるという考えもあります。
なので、どういうペアを組むのがいいのかは、実際の学習者がどんな性格かによって、変わってくるとは思います。
授業の中で話すことが増え、クラスが仲良くなる
クラスの人数にもよりますが、20人ぐらいのクラスだと、話す機会がない学習者同士は多いです。国籍が違えばなお更です。
ペアの会話練習をしているうちに、相手のことを知って仲良くなれます。
つまり、クラスの席順を変えると、交流が増えて学習者同士が仲良くなり、クラスの雰囲気もよくなります。
代講でクラスに入った教師は座席表があるので、学習者の名前がわかる
学習者の名前を覚えるのは、基本中の基本です。
しかし、学習者が何百人もいる日本語学校では、そのクラスで教えたことがない場合は、学習者の名前と顔が一致しない場合があるかもしれません。
授業では、学習者を指名することも多いので、教師は学習者の名前を把握しておかなければなりません。
教師がクラスの席順を決めれば、必ず座席表があるので、初めてそのクラスで教える教師がいる場合には、助かりますよね。
クラスの席順を教師が決める2つデメリット
クラスの席順を教師が決めるデメリットもあるので、紹介します。
学習者から不満が出る可能性がある
教師がクラスの席順を決めるというのは、学習者自身が席を選択していません。
悪く言えば、強制です。
なので、「いつも前の席のような気がする」「〇〇さんの隣は嫌だ」など、不平等感や不満を感じる学習者がいるかもしれません。
席順を考えるので、教師の手間が増える
席替えの頻度にもよると思いますが、クラスの席順を考えるのですから、教師の手間は増えます。
クラスの席順を「くじ引き」で決めるメリット
くじ引きは平等なので、不満が出ない
教師がクラスの席順を決めるデメリットに、学習者から不満が出る可能性がありました。
しかし、くじ引きは自分で選択するので、平等です。
その席のくじを選んだのは自分なので、不満は出にくいです。
クラスの席順をくじ引きで決めるデメリット
くじ引きするのに時間がかかる
くじ引きで席を決めるのは、時間がかかります。
くじ引きのくじ自体は一度作ってしまえば毎回使い回しができるので、それほど手間ではありません。
クラスの人数が多ければ多いほど、くじ引きに時間がかかるので、授業外の時間でくじ引きをしたほうがいいと思います。
クラスの席順を変えるときに注意すべき2つのこと
クラスで席替えをするときに、注意するべきことが2つあるので紹介します。
一番最初の席替えのときに、席替えの目的を伝える
席替えをするときは、なぜ席替えをするのか目的を伝えましょう。
教師が「勝手に」席を決めたのでは、反発する学習者もいるかもしれません。
そうならないためにも、席替えをする理由を伝えたほうがいいです。
きちんと席替えをする理由や目的を伝えれば、学習者も大人ですから不満は出ません。
席替えをする目的を以下のように伝えていました。
目が悪い人、前や後ろの席で困る人がいないか確認する
目が悪くて、一番前がいいという学習者もいるので、目が悪い人がいないかどうか確認しましょう。
実際に、「目が悪いから一番前の席にしてほしい」「目の関係で窓際の席はまぶしいから避けたい」という学習者がいました。
また、すごーく背が高い学習者は、後ろの席の学習者が前が見えなくなってしまうので、配慮した席順にさせてもらっていました。
【まとめ】クラスの席順は「目的」を伝え、教師が決めたりくじ引きで決めよう!
日本語学校でクラスの席順をどうしたらいいのか、私の経験をもとに見解を述べました。
クラスの席順については、
のがおすすめです。
もし、学習者同士で席を決められるのなら、教師が席順に介入する必要はありません。
大切なのは「なぜ席替えをするのか」という目的を理解してもらうことです。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。