N2(文法分析)

N2文法「~としたら/~とすれば/~とすると」は何が違う?|詳しく解説します

学習者から

「先生、「~としたら」「~とすれば」「~とすると」は何が違いますか?同じで使っていいですか?」

と聞かれたら、あなたはどう答えますか?

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

中級以上になると、似ている文法が増えますよね。

今回は「~としたら」「~とすれば」「~とすると」の違いについて、詳しく解説したいと思います。

 

では、まず「~としたら/~とすれば/~とすると」の意味から確認しておきましょう。

  • ~と仮定した場合
  • その状況なら

まだ起こっていない仮定の場合も、すでに起こっている確定の場合も使えます。

 

 

それでは、3つの違いについて見ていきましょう!

「~としたら」「~とすれば」「~とすると」の違いは?

この3つは置き換え可能な場合が多いです。

ですが、微妙に使われ方が違うので、その違いや特徴を見ていきたいと思います。

 

微妙なニュアンスの違いと特徴

~としたら

「~としたら」の特徴
  • 意味:今はその状況にはないが、もしその状況を仮定したら。不明なことを、そうだと仮定したら。
  • 前件には意志動詞を使う。
  • 後件の内容は自由。
  • 仮定のニュアンスが一番強い。
  • 一番話し言葉的。

 

「~としたら」の例文
  • 無人島に一つだけ持って行くとしたら、携帯電話を持って行くつもりだ。
  • 家を買うとしたら、大きくて庭のある家を買いたい。
  • もし日本に留学していなかったとしたら、結婚していただろう。
  • 明日死ぬとしたら、寿司をお腹いっぱい食べたい。
  • 田中さんが結婚したという話が本当だとしたら、鈴木さん、ショックだろうな・・・。
  • 北海道から九州まで自転車で行くとしたら、何日かかる?
  • ベトナムに住むとしたら、どこがおすすめですか?

 

~とすれば

「~とすれば」の特徴
  • 意味:そのように仮定すれば、ある論理的な結果になる。
  • 主観的な判断や評価が入りやすい。
  • 後件の内容は、比較的自由。

 

「~とすれば」の例文
  • 世界一周旅行をするとすれば、100万円はかかる。
  • ボーナスをもらえるとすれば、給料2か月分だと思う。
  • 時給1,000円で8時間働いたとすれば、一日で8,000円もらえる。
  • 車を持っていないとすれば、田舎に住むのは大変だ。
  • 日本の好きなところを言うとすれば、ご飯が美味しくて、安全なところだ。
  • 友だち5人が私のアパートに泊まるとすれば、この部屋では狭すぎるだろう。
  • 締め切りが今週の金曜日だとすれば、寝ないでレポートを書かないと間に合わない。

 

~とすると

「~とすると」の特徴
  • 意味:そのように仮定すると、どういうことになるか。
  • 客観的な視点からの表現で、後ろには当然の帰結が来ることが多い。
  • 後件は意志表現はとりにくい。
  • 仮定条件の意味よりも確定条件の意味で使うことが多い。

 

「~とすると」の例文
  • 一億円あるとすると、働かなくなるだろう。
  • 医学部に入るとなると、6年間で2,000万円以上かかる。
  • 田中さんが来ないとなると、誰も運転できる人がいない。
  • 2カ月雨が降らないとなると、野菜が育たない。
  • 電車の時間は8時だから、7時半に起きたとすると、間に合わない。明日は7時に起きよう。

 

たのすけ
たのすけ
「たら/ば/と」の違いを考えると、「~としたら/~とすれば/~とすると」の違いがわかりやすいかもしれません。

 

確定の意味もあります!

確定の意味では、「このような状況をふまえれば」という意味になります。

 

確定の意味を表す場合は、ほとんど違はありません

違うを言うのなら、「~としたら」は話し言葉的で、確定条件よりも仮定条件で使われることが多いです。

「~とすれば」よりも「~とすると」の方が使われます。

  • 1時間待っても来ない(のだとしたら とすれば とすると)、約束を忘れているかもしれない。
  • 明日は休み(なのだとしたら だとすれば だとすると)、今日は遅くまで起きていても大丈夫!
たのすけ
たのすけ
確定の意味のときは、「もし」とは一緒に使えません。

 

「~としたら」は、 確定の意味で使うときは、「~のだとしたら」の形で使うことが多いです。

接続は、「V・イA(の)だとしたら/ナA・N(なの)だとしたら」になります。

 

学習者には「~としたら」「~とすれば」「~とすると」の違いをどう説明する?

「~としたら」「~とすれば」「~とすると」には意味が2つ(仮定・確定)ありました。

確定の意味のときは、ほとんど置き換えが可能なので、「同じです」でいいと思います

 

仮定に意味のときは、微妙に使われ方や特徴が違うので、ポイントだけを伝えるのがいいと思います。

  • 「もし」の意味が強いときは、「~としたら」がいい。(「もし」なので、「もし宝くじが当たったとしたら」など、現実ではありえなさそうな仮定のとき)
  • 「~としたら」は会話でよく使われる。
  • 「~とすれば」の後ろは、自分の考えや意見が来る。(主観的)
  • 「~とすると」の後ろは、自分の考えや意見よりも、誰もが思うことが来る。(客観的)また、当然そうだよね、ということが来る。(当然の帰結)
  • 「~とすれば」は、後ろに意志表現は使いにくい。
たのすけ
たのすけ
学習者に伝えること・伝えないことは、学習者のレベルに合わせて変えましょう。説明のし過ぎは、混乱を招く原因になります。

 

【まとめ】「~としたら」「~とすれば」「~とすると」は微妙に違う!

「~としたら」「~とすれば」「~とすると」の3つの違いを紹介しました。

確定の意味ではほとんど同じですが、仮定の意味のときは、微妙にニュアンスが異なります。

こういった微妙な違いは説明するのが難しいですよね…。

ポイントは2つです。

  • 学習者に伝えることは学習者の日本語レベルに合わせて、伝えること・伝えないことを決めること。(説明しすぎは学習者の混乱を招く)
  • 説明と一緒に例文も準備すること。

 

学習者にどんな説明がいいのかは、学習者によっても変わりますし、トライ&エラーです。

試行錯誤を繰り返して、学習者にとってわかりやすい、あなたらしい説明の仕方を見つけていってくださいね。

たのすけ
たのすけ
大丈夫です!トライ&エラーをして、どんどんわかりやすい説明の仕方を身に付けていきましょう。

 

以上、たのすけでした。

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恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。

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