「あ~やっと授業が終わった。でも振り返ってみると、教師だけが一方的に話していた気がする・・・」
「導入のとき、いつも一方的に話している気がする。学習者も参加できる方法はないかな?」
こんな疑問や悩みを持っていませんか?
私も日本語教師になったばかりの頃、導入のとき一方的に話していることが多かった気がします・・・!
だんだん学習者とやり取りをして導入をした方が、学習者はただ聞いているだけじゃなく授業に参加している能動的な授業になるし、言いたいことが言えないときに、「ああ、こう言えばいいんだ!!」とすんなり頭に入ることがわかってきました。
なので、初級文法の導入のときに、いつも教師が一方的に話している気がすると思っているなら、ぜひこの記事を読んでみてください。
目次
教師が一方的に話す導入とは?
「~ようになりました」の文型を例に、まずは、教師が一方的に話す導入例を紹介します。
(以下、T=教師、S=学習者)

T:絵を見てください。キムさんは韓国人です。
日本に来る前、漢字が書けませんでした。
今、日本で勉強しています。漢字が書けます。
キムさんは漢字が書けるようになりました。
以上のような導入だと、教師が一方的に話す導入になってしまいます。
では、どうしたらいいのかを次で紹介していきます。
学習者とやり取りしながら導入する方法
教師が一方的な話す導入にならないためには、学習者とやり取りをしながら導入することが大切です。
ポイントは、「学習者に質問をする」ことです。
導入例①
上の例だと、以下のようなやり取りができます。

(左の男性を指さしながら)
T:キムさんです。韓国人です。キムさんは漢字が書けますか?
S:いいえ、書けません。
T:そうですね。キムさんは前、漢字が書けませんでした。
(真ん中の日本と右の男性を指しながら)
T:あれっ?キムさんは今どこにいますか?
S:日本にいます。
T:そうですね。キムさんは今日本で日本語を勉強しています。キムさんは今、漢字が書けますか?
S:はい、書けます。
T:どうしてですか?
S:日本語学校で勉強していますから。
T:そうですね。キムさんは前、漢字が書けませんでした。今、漢字が書けます。キムさんは・・・?
S:今漢字が・・・書けます?
T:キムさんは漢字が書けるようになりました。
このように学習者とやり取りをしながら導入をすると、教師が一方的に話す導入にはなりません。
「前はできなかったけど、今はできるようになった表現を言いたいんだけど、言えない。どう言えばいいのかな・・・?」と思ったときに、教師が必要な言い方(今日の導入文型)を言うので、すんなりと頭に入ってきます。
導入例②
絵カードがなくても、学習者とやり取りしながら導入ができます。
同じように「~ようになりました」を例に、導入例を紹介します。
T:Sさん、日本に来る前はできませんでした。
日本に来てから、できます。何かありますか。
S:日本語が話せます。
T:おお~、そうですね。今日本語を話していますね。日本に来る前は、日本語が全然話せませんでしたか?
S:はい、話せませんでした。
T:今はどうして日本語が話せますか?
S:勉強していますから。
T:Sさんは日本に来る前、日本語が話せませんでした。日本に来て、日本語を勉強しています。今、日本語が話せます。Sさんは・・・
S:今、日本語が話せます・・・?
T:Sさんは日本語が話せるようになりました。
このように絵カードがなくても、学生自身のことを聞くことで学生とやり取りしながら導入文を作り上げていくことができます。
初級の最初のうちから学習者とやり取りする導入はできる?
もちろん学習者とやり取りをしながら導入する方法ができない場合もあるかもしれません。
しかし、「学習者に質問をする」のは、初級のうちからでもできるので、比較的初級の最初のうちから取り入れられるテクニックだと思っています。
「みんなの日本語」4課「から~までVます」の導入を例に紹介します。

教師の一方的な導入だど・・・
(時計を指しながら)
T:15時です。17時です。15時から17時まで勉強します。
学習者に質問をすると・・・
(左の時計を指して)
T:何時ですか?
S:15時です。
(右の時計を指して)
T:何時ですか?
S:17時です。
(真ん中の男性を指して)
T:15時から17時まで・・・
S:勉強します。
T:15時から17時まで勉強します。
このように初級の最初の頃でも、学習者に質問できることは質問するようにしておけば、学習者とやり取りしながらの導入が可能です。
注意点
学習者とやり取りしながら導入するのは、実際には学習者からどんな回答が返ってくるかわかりません。
場合によっては、思ってもいないような答えが返ってくる場合もあります。
なので、導入に慣れるまでは、絵カードを使って学習者とやり取りしながら導入して、慣れたら学習者自身のことを導入文にするのをおすすめします。
【まとめ】導入は学習者に質問をしがら行おう!
学習者とやり取りをしながら導入をすれば、教師が一方的に話す導入ではなくなります。
ポイントは、「学習者に質問する」ことです。
学習者が授業に積極的に参加をしている雰囲気も作れますし、実際に「言いたいけど、言えない・・・」を感じることで、より導入文が頭に入りやすくなります。
実際にどんな場面でこの文型を使えばいいのかが、体験を通して学べると思っています。
中級文法の導入のやり方は「【実際の導入例を紹介】日本語「中級文法」の教え方と5つのポイント」の記事をご覧ください。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。