日本語の教案

「~はずだ」と「~だろう」は何が違う?|日本語文法の基礎知識

まず、下の例文を見てください。

キムさんはN2に合格するはずだ

キムさんはN2に合格するだろう

 

「先生、「~はずだ」と「~だろう」は何が違いますか?」

と学習者に聞かれたら、どう答えますか?

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

どうでしょうか・・・?

冒頭で紹介した例文の違いについて、説明できるでしょうか?

 

「意味や使う状況が違うのはわかるけど、どうやって学習者に説明したらいいんだろう・・・」

と悩んでしまったのなら、ぜひこの記事を読んでみてください。

 

たのすけ
たのすけ
まずは「~はずだ」と「~だろう」の用法について確認しましょう。

「~はずだ」の用法

接続

普通形+はずだ *なA→な、N→の

 

意味

根拠があって、絶対にそう思うときに使う。

「間違いなく~だ」と確信しているときに使う表現。

 

「~だろう」の用法

接続

普通形+だろう *N→N

 

意味

話し手が断定しないときに使う推量表現。

 

「~はずだ」と「~だろう」の違い

「~はずだ」と「~だろう」の違いのポイントは、2つです。

確信度の違い:~だろう<~はずだ

下記の例文は、冒頭で紹介した例文です。

キムさんはN2に合格できるはずだ

キムさんはN2に合格できるだろう

 

どちらの例文も間違いじゃありませんが、「~はずだ」を使った方が、話し手はキムさんが                        絶対合格できると思っています。

「~だろう」よりも「~はずだ」の方が、話し手の確信度が高くなります

 

理由は、「~はずだ」は根拠や理由があるときに使うからです。

話し手はキムさんがN2に合格できると思う根拠があって、N2に合格できると確信しているので「~はずだ」を使っています。

その根拠とは、キムさんは模擬試験でいつも合格点なのかもしれないし、日本語がペラペラなのかもしれません。

 

「~だろう」は、あくまで話し手の推量なので、確信度は低くなります。

 

根拠があるか:「~はずだ」は根拠がある

「~はずだ」は根拠がある確信で、「~だろう」は話し手の推量になります

①キムさんはいつもテストで100点だから、試験に合格するはずだ

②キムさんはよく勉強しているから、試験に合格するだろう

 

「~はずだ」を使うのは、根拠があるときです。

①では、キムさんが合格すると確信しているのは、「いつもテストで100点を取っている」という根拠があります。

 

「~だろう」は、話し手の推量表現です。

②では、キムさんが合格すると思っているのは、「よく勉強している」からであって、根拠があるわけではありません。

たのすけ
たのすけ
よく勉強しているからといって、試験に合格できるとは限らない…ですよね。

 

「~はずだ」と「~だろう」を違いがわかる例文を準備しよう!

「~はずだ」と「~だろう」の違いがわかる例文を紹介します。

「~はずだ」では、根拠があって確信している場面を、「~だろう」では、根拠はなく話し手が推量している場面にしました。

 

導入例①

~はずだ

キムさんは昨日熱があると言っていた。

今日は病院へ行くと言っていたので、学校を休むはずだ

学校を休む根拠(病院に行くと言っていた)があるので、「~はずだ」を使います。

 

~だろう

キムさんは昨日熱があると言っていた。だから、今日は学校を休むだろう

話し手は、キムさんは昨日熱があったので学校を休むと思っていますが、実際にはキムさんが今日休むかどうかはわからず、話し手の推量になるので、「~だろう」を使います。

 

導入例②

~はずだ

田中さんは今日は残業をしなければならないと言っていたから、今日の飲み会に来ないはずだ

根拠(今日は残業をしなければならない)があるので、「~はずだ」を使います。

 

~だろう

田中さんは忙しいと言っていたらから、今日の飲み会に来ないだろう

話し手は田中さんが飲み会に来ないと思っていますが、田中さんが飲み会に来ない明確な根拠はないので、「~だろう」を使います。

 

たのすけ
たのすけ
「~はずだ」と「~だろう」は、まったく同じ例文にしてしまうと違いがわかりにくいので、少し状況を変えた例文にすると、わかりやすくなると思います。

 

【まとめ】「~はずだ」と「~だろう」の違いのポイントは2つ!

「~はずだ」と「~だろう」の違いについて紹介しました。

もう一度まとめます。

  • ~はずだ:根拠があって、絶対にそう思うときに使う。
  • ~だろう:話し手が判断を断定しないときに使う推量表現。
  • 「~はずだ」のほうが「~だろう」より、確信度が高い。
  • 「~はずだ」は根拠がある。

 

学習者から「~はずだ」と「~だろう」の違いについて聞かれたときに答えられるように、ポイントを押さえておきましょう。

以上、たのすけでした。

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