まず、下の例文を見てください。
キムさんはN2に合格するはずだ。
キムさんはN2に合格するだろう。
「先生、「~はずだ」と「~だろう」は何が違いますか?」
と学習者に聞かれたら、どう答えますか?
どうでしょうか・・・?
冒頭で紹介した例文の違いについて、説明できるでしょうか?
「意味や使う状況が違うのはわかるけど、どうやって学習者に説明したらいいんだろう・・・」
と悩んでしまったのなら、ぜひこの記事を読んでみてください。
目次
「~はずだ」の用法
接続
普通形+はずだ *なAだ→な、Nだ→の
意味
根拠があって、絶対にそう思うときに使う。
「間違いなく~だ」と確信しているときに使う表現。
「~だろう」の用法
接続
普通形+だろう *Nだ→N
意味
話し手が断定しないときに使う推量表現。
「~はずだ」と「~だろう」の違い
「~はずだ」と「~だろう」の違いのポイントは、2つです。
確信度の違い:~だろう<~はずだ
下記の例文は、冒頭で紹介した例文です。
キムさんはN2に合格できるはずだ。
キムさんはN2に合格できるだろう。
どちらの例文も間違いじゃありませんが、「~はずだ」を使った方が、話し手はキムさんが 絶対合格できると思っています。
「~だろう」よりも「~はずだ」の方が、話し手の確信度が高くなります。
理由は、「~はずだ」は根拠や理由があるときに使うからです。
話し手はキムさんがN2に合格できると思う根拠があって、N2に合格できると確信しているので「~はずだ」を使っています。
その根拠とは、キムさんは模擬試験でいつも合格点なのかもしれないし、日本語がペラペラなのかもしれません。
「~だろう」は、あくまで話し手の推量なので、確信度は低くなります。
根拠があるか:「~はずだ」は根拠がある
「~はずだ」は根拠がある確信で、「~だろう」は話し手の推量になります。
①キムさんはいつもテストで100点だから、試験に合格するはずだ。
②キムさんはよく勉強しているから、試験に合格するだろう。
「~はずだ」を使うのは、根拠があるときです。
①では、キムさんが合格すると確信しているのは、「いつもテストで100点を取っている」という根拠があります。
「~だろう」は、話し手の推量表現です。
②では、キムさんが合格すると思っているのは、「よく勉強している」からであって、根拠があるわけではありません。
「~はずだ」と「~だろう」を違いがわかる例文を準備しよう!
「~はずだ」と「~だろう」の違いがわかる例文を紹介します。
「~はずだ」では、根拠があって確信している場面を、「~だろう」では、根拠はなく話し手が推量している場面にしました。
導入例①
~はずだ
キムさんは昨日熱があると言っていた。
今日は病院へ行くと言っていたので、学校を休むはずだ。
学校を休む根拠(病院に行くと言っていた)があるので、「~はずだ」を使います。
~だろう
キムさんは昨日熱があると言っていた。だから、今日は学校を休むだろう。
話し手は、キムさんは昨日熱があったので学校を休むと思っていますが、実際にはキムさんが今日休むかどうかはわからず、話し手の推量になるので、「~だろう」を使います。
導入例②
~はずだ
田中さんは今日は残業をしなければならないと言っていたから、今日の飲み会に来ないはずだ。
根拠(今日は残業をしなければならない)があるので、「~はずだ」を使います。
~だろう
田中さんは忙しいと言っていたらから、今日の飲み会に来ないだろう。
話し手は田中さんが飲み会に来ないと思っていますが、田中さんが飲み会に来ない明確な根拠はないので、「~だろう」を使います。
【まとめ】「~はずだ」と「~だろう」の違いのポイントは2つ!
「~はずだ」と「~だろう」の違いについて紹介しました。
もう一度まとめます。
- ~はずだ:根拠があって、絶対にそう思うときに使う。
- ~だろう:話し手が判断を断定しないときに使う推量表現。
- 「~はずだ」のほうが「~だろう」より、確信度が高い。
- 「~はずだ」は根拠がある。
学習者から「~はずだ」と「~だろう」の違いについて聞かれたときに答えられるように、ポイントを押さえておきましょう。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。