日本語の教案

「知りません」と「わかりません」の違いを例文で考えよう|日本語文法の基礎知識

初級が終わった学習者でも「知りません」と「わかりません」を間違って使っている学習者はいませんか?

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

先日のレッスンで初中級の学習者が以下のような回答をしました。

T:明日は日曜日ですから、学校が休みですね。明日は何をしますか。

S:うーん、知りません

「知りません」のこの使い方は、変ですよね。

 

私たち日本人は自然に「知りません」や「わかりません」を使い分けていますが、簡単なように見えて実は奥が深いんです。

「知りません」と「わかりません」を逆に使ってしまうと、相手に冷たい印象を与えてしまうこともあるので注意が必要です

 

この記事では初級の学習者が間違えやすい「知りません」と「わかりません」の違いについて、例文を紹介して解説しています。

もし学習者が間違えて使っていたら、正しい使い方を教えられるように、「知りません」と「わかりません」の違いを把握しておきましょう。

 

「知りません」と「わかりません」の違い

知識や情報、経験がない時は「知りません」を使う

「知りません」は、頭の中に知識や情報、経験がない時に使います。

A:田中さんの携帯電話の番号を知っていますか。

B:いいえ、知りません

田中さんの携帯電話の番号の【情報】を持っていないという意味です。

たのすけ
たのすけ
ここでは「わかりません」を使ってもいいです。詳しい理由は、後ほど解説しています。

 

理解できないときは「わかりません」を使う

「わかりません」は、理解できないときに使います。

説明書が複雑で、わかりません

説明書を読んでも複雑で理解できなかったので、「わかりません」を使います。

 

考えても答えが出ないときは「わかりません」を使う

考えてみたけど答えが出なかったときは「わかりません」を使います。

東京大学の数学の問題は、私にはわかりませんでした

 

「わかりません」は自分のことに使えるが、「知りません」は自分のことには使えない

「わかりません」は自分のことについても使えます。

A:来週の日曜日、予定がありますか。

B:まだわかりません

 

「わかりません」と違って、「知りません」は自分のことには使えません

なぜなら、「知りません」を使うのは、自分の頭の中に知識や情報、経験がない時に使うからです。

A:明日、何をしますか。

B:まだ考えているところなので、知りません。×(正しくは「わかりません」)

たのすけ
たのすけ
自分のことなので、「知らない」のは変ですよね。

 

初級の学習者で多いのは、自分のことなのに「知りません」を使ってしまう誤用だと思います。間違えた学習者がいたら、早い段階で指摘してあげましょう。

 

「知りません」の助詞は「を」、「わかりません」の助詞は「が」を使う

「知りません」の助詞は「を」を使い、「わかりません」は「が」を使います。

「知る」は他動詞、「わかる」は自動詞だからです。

 

文法的に正しくても、「知りません」と「わかりません」で文の意味が異なる

「知りません」と「わかりません」で文の意味が異なります。

私は田中さんを知りません。(田中さんと会ったことがなく、田中さんがどんな人か情報を持っていない)

私は田中さんがわかりません。(田中さんのことを知っているが、田中さんという人物のことが理解できない)

たのすけ
たのすけ
間違えて使うと文の意味が異なってしまうので、注意しましょう。

 

「知りません」と「わかりません」を間違えて使うと、相手が受ける印象に違いはある?

「知りません」と「わかりません」は同じように使える場合もありますが、相手が受ける印象が異なります

 

次の例文で考えてみましょう。

「知りません」と「わかりません」を言われたときで、相手に対する印象が違うと思います。どっちがいい印象を受けるでしょうか。

Q:すみません、今、何時ですか。

A:時計を持っていないので、知りません

B:時計を持っていないので、わかりません

 

「知りません」は、相手から聞かれたことに対して突き放しているような冷たい印象を持ちませんか

「知りません」は、「(自分には情報がないので聞かれても)知りません」という、相手を突き放した印象を与えてしまいます。

 

「わかりません」は、相手から聞かれたことに対して、考えてみたけどわからなかったと控えめに「ごめんさない」と言っている印象を与えます

たのすけ
たのすけ
日本人に誤解を与えないためにも、この違いは知っておいたほうがいいですね。

「わかる」という言葉は、相手の気持ちを察して意に添うようにする場合にも使われます。

 

一番最初の例文で、

A:田中さんの携帯電話の番号、知っていますか。

B:いいえ、知りません

は、「わかりません」を使ってもいいと紹介しました。

理由は、「知りません」だと相手を突き放したような冷たい印象になってしまうからです。

「わかりません」を使ったほうが、「わからなくて、ごめんなさい」という柔らかい印象を与えられます。

 

【まとめ】「知りません」と「わかりません」は相手に与える印象が違うので、使い方に注意!

「知りません」と「わかりません」の違いについて紹介しました。

もう一度、まとめます。

知りません:知識や情報がないときに使う。自分のことには使えない。

わかりません:理解できないときや、考えても答えが出ないときに使う。自分のことにも使える。

「知りません」は、相手を突き放したような冷たい印象を与える場合もあるので、使い方に注意が必要。

 

もし間違って使っている学習者がいたら、ぜひ違いについて教えてあげましょう。

 

言葉の違いや使い方を調べるなら、「基礎日本語辞典」や「使い方の分かる 類語例解辞典〔新装版〕」がおすすめですよ。

 

以上、たのすけでした。

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