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「ために」と「ように」の違いを学習者にどう説明する?|日本語文法の基礎知識

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目的の「~ために」と「~ように」は、違いについて学習者から質問されることが多いです。

質問に答えられるように、「~ために」と「~ように」の違いについて把握しておきたいですよね。

 

たのすけ
たのすけ
この記事を書いているのは、日本語教師のたのすけ(@t_tanosuke)です。以前は日本語学校で専任講師をしていましたが、現在はオンライン日本語教師として働いています。

 

この記事では、目的の「~ために」と「~ように」の違いについて、解説しています。

わかりやすいように、例文を豊富に紹介しています。

 

「『~ために』と『~ように』の違いについて、学習者から質問されたらどう答えればいいのかな…」と心配な日本語教師の方は、ぜひ読んでみてください。

自信を持って、質問に答えられるようになりますよ!

 

目的「~ために」と「~ように」の違い

まずは、意味を確認しておきましょう。

_______ために/ように、_______。

前件が【目的】で、後件がそれを達成するための【行動】です。

「~ために」は意志動詞を使う、「~ように」は無意志動詞を使う

「~ために」と「~ように」で文法上異なる点は、「~ために」は意志動詞、「~ように」は無意志動詞を使うことです。

意志動詞:人の意志でコントロールできる動作。(例)行く、食べる、書く

無意志動詞:人の意志でコントロールできない動作。自動詞や可能動詞など。

 

〇 試験に合格するために、毎日3時間勉強します。

〇 試験に合格できるように、毎日3時間勉強します。

 

「合格する」は意志動詞、「合格できる」は無意志動詞(可能動詞)です。

上記の例文はどちらも正しいですが、厳密には「~ために」は意志動詞を使うことからも、目的達成のための意欲が高いです

「~ように」は、目的を達成するために、努力をしたり、頑張ったりするニュアンスです

 

〇 家を買うために、貯金しています。

× 家を買うように、貯金しています。

「買う」は意志動詞なので、「~ように」は不可です。

 

× 日本語が話せるために、日本語を勉強しています。

〇 日本語が話せるように、日本語を勉強しています。

「話せる」は無意志動詞(可能動詞)なので、「~ために」は不可です。

たのすけ
たのすけ
可能動詞のときは、助詞「を」が「が」になるので、注意しましょう。

 

動詞のない形に接続するときは、「~ように」を使う

動詞のない形に接続するときは、「~ように」を使います。

基本的に、「~ために」は動詞のない形に接続しません。

× 忘れないために、メモします。

〇 忘れないように、メモします。

 

名詞に接続するときは「~ために」を使う

「~ように」は名詞に接続できません。

〇 旅行のために、大きいかばんを買いました。

× 旅行のように、大きいかばんを買いました。

 

前件と後件の動作主が一緒かどうか

「~ために」は、前件と後件の主語が同一人物です。「~ように」は、前件と後件の主語が同一人物でなくても大丈夫です。

× 塾に行く前に、子供が食べるために、夜ご飯を作っておきます。

〇 塾に行く前に、子供が食べられるように、夜ご飯を作っておきます。

食べるのは子供ですが、夜ご飯を作るのは別の人(母親)です。前件と後件の動作主が同一人物ではないので、「~ように」を使います。

 

学習者に「~ために」と「~ように」の違いをどう説明する?

学習者へは、2つの違いを説明すればいいと思います。

  • 「~ために」は意志動詞、「~ように」は無意志動詞を使う
  • 接続は、名詞に接続するときは「~ために」を使い、動詞のない形は「~ように」を使う

 

一つは目は、使う動詞についてです。「~ために」は意志動詞を使い、「~ように」は無意志動詞を使います。

(実際には例外もありますが、学習者の理解度によっては初級の段階で伝える必要はなく、もし誤用が出たら説明すればいいと思います)

 

学習者の理解度によって、「~ために」のほうが目的達成への気持ちが強いときに使うと説明してもいいと思います。

例えば、「絶対にN3に合格したい!だから一所懸命、日本語を勉強する!」と強い意志があるなら、「~ために」を使ったほうがいいでしょう。(例)N3に合格するために、一生懸命日本語を勉強しています。

 

二つ目は、名詞と動詞のない形への接続です。

名詞に接続する場合は、「~ために」を使います。動詞のナイ形に接続する場合は、「~ように」を使うと説明しましょう。

たのすけ
たのすけ
学習者の理解度によっては、「~ために」と「~ように」で前件と後件の動作主に違いがあることを説明してもいいと思います。

 

目的「~ために」の用法

接続

V辞書形+ために
名詞+ために

 

意味

  • 目的達成のために、意志的に~する。

 

ポイント

動詞は意志動詞を使う

試験に合格するために、毎日3時間勉強する。

「~ために」は意志動詞を使います。

 

前件と後件の主語が同じ

「~ために」は、前件と後件の主語が同じです。

日本語を勉強するために、留学に来ました。

日本語を勉強する人も、留学に来た人も同一人物です。

 

「名詞+のために」は意味が二つある

「名詞+のために」は意味が二つあります。

一つは、目的です。

健康のために、毎朝散歩しています。

 

「名詞+のために」の名詞が「人」の場合は、利益の意味になります。

家族のために、働きます。

恋人のために、ケーキを作りました。

 

 

例文

  • 旅行に行くために、貯金しています。
  • お金を貯めるために、アルバイトをしています。
  • 経済を学ぶために、大学に入りたいです。
  • N3に合格するために、日本語の勉強をしています。
  • 試合に勝つために、一生懸命練習しました。
  • 日本語の勉強のために、日本のドラマを見ています。
  • 旅行のために、大きいかばんを買いました。
  • 健康のために、たばことお酒をやめました。
  • デートのために、服を買いました。

 

「~ために」は原因や理由の意味もあります。詳しくはこちら≫~ためだ/~ため(に)(原因)

 

目的「~ように」の用法

接続

V辞書形/Vナイ形+ために

 

意味

  • 目的のために努力して・頑張って~する。

 

ポイント

無意志動詞を使う

風邪が早く治るように、早く寝ました。

漢字が読めるように、勉強しています。

「~ように」は無意志動詞を使います。(「治る」は自動詞、「読める」は可能動詞なので、無意志動詞です)

たのすけ
たのすけ
例外として意志動詞が来る場合もあります。後ほど説明します。

 

動詞のない形に接続する

病気にならないように、野菜をたくさん食べています。

動詞のない形に接続するときは、「~ように」を使います。

 

前件と後件の動作主が同じでなくてもいい

「~ように」は、前件と後件の動作主が同じでも同じでなくてもいいです。

動作主が同じでない場合は「~ために」は使えないので、「~ように」を使います。

息子が野菜を食べられるように、小さく切ります。

 

前件と後件の動作主が同じではない場合は、意志動詞を使うこともあります。

息子が野菜を食べるように、小さく切ります。

野菜を食べるのは「息子」ですが、野菜を小さく切るのは「私」です。

 

【補足】神社などでお願いするときは「~ように」を使う

神社などへ行ってお願いするときや、短冊などに願いを書くときは「~ように」と、言い切りの形になります。「~ために」は使えません。

動詞の辞書形ではなく、動詞のます形(丁寧な言い方)を使います。

大学に合格できますように

宝くじが当たりますように

 

例文

  • 明日の朝、早く起きられるように、22時に寝ます。
  • よく聞こえるように、大きい声で話してください。
  • 日本語が上手になるように、毎日勉強しています。
  • アルバイトの時間を忘れないように、手帳に書いています。
  • 遅れないように、急ぎます。
  • 道を間違えないように、スマホの地図を見ます。

 

【まとめ】「~ために」と「~ように」は2つの違いを押さえよう!

「~ために」と「~ように」の違いについて解説しました。

 

学習者への説明は、以下の2つでOKです。

  • 「~ために」は意志動詞、「~ように」は無意志動詞に接続する
  • 接続は、名詞に接続する場合は「~ために」を使い、動詞のナイ形は「~ように」を使う

 

上記の2つ以外にも、日本語教師の基礎知識として違いは把握しておきましょう。

 

以上、たのすけでした。

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日本語教師たのすけです。

恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。

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