日本語の教案

「ようにする」と「ようになる」の違いを例文で紹介|実は奥が深い文型です…!

学習者から

「先生、「ようにする」と「ようになる」は何が違いますか?」

と質問されたら、あなたはどう答えますか?

 

「~ようにする」と「~ようになる」は、「する」と「なる」の違いで、形がとても似ています。

このように形の似ている文型は、学習者からその違いについて質問されることが多いです。

 

この記事では、「~ようにする」と「~ようになる」の違いを紹介しています。

冒頭の学習者の質問に「何て答えよう…」と思ったのなら、ぜひこの記事を読んでみてください。

 

「~ようにする」と「~ようになる」の用法

まずは、「~ようにする」と「~ようになる」の基本的な意味を確認しましょう。

 

「~ようにする」

意味

「~ようにする」は、意志動詞を使うか無意志動詞を使うかで意味が異なります。

意志動詞を使う場合、それをする必要や何かの意図があって、これからすることや、そのような努力をすることを表したり、習慣的にある行動をすることを表します。

たのすけ
たのすけ
話し手自身が事柄が成立するように、努力する・心がける・配慮する、という意味になります

 

無意志動詞を使う場合、他の人やものへ働きかけることによって、そのことを実現する意味を表します。

たのすけ
たのすけ
「~ようにする」は、意志動詞でも無意志動詞でも、自分で変えることを意識しています。

 

接続

V辞書形/Vナイ形+ようにする

たのすけ
たのすけ
意志動詞・無意志動詞のどちらも使います。

 

例文

 

意志動詞(努力・習慣的行動)

  • N3に合格するために、毎日3時間勉強するようにする
  • もしも飲み会に参加できないときは、早めに連絡するようにします
  • 困ったことがあったら、先生に相談するようにします
  • ダイエットのために、甘い物を食べないようにする
  • 勉強中は、スマホを見ないようにする

無意志動詞(働きかけ)

  • ケーキを8つに切って、みんなで食べられるようにする
  • 会社のコピー機を修理して、使えるようにした
たのすけ
たのすけ
「ケーキを8つに切ることや、会社のコピー機を修理することが「働きかけ」です。

 

「~ようになる」

意味

「~ようになる」は、能力、習慣の変化を表します。

たのすけ
たのすけ
今まで存在しなかった状態が、今は存在することを表します。

 

動詞の辞書形と可能動詞で意味が異なります。

動詞の辞書形(V辞書形+ようになる)は習慣の変化を表し、可能動詞を使う場合(可能動詞の辞書形+ようになる)は、能力の変化を表します。

日本に来てから、日本語を話すようになった。(日本語を話す習慣ができた)

日本に来てから、日本語が話せるようになった。(日本語が話せるように能力が向上(変化)した)

たのすけ
たのすけ
「~ようになる」は、習慣でも能力でも、変化の結果を表します。変化の結果を表すので、基本的には「~ようになった」と過去形で使うことがほとんどです。

 

接続

V辞書形/Vナイ形+ようになる
※Vナイ形~くなる

たのすけ
たのすけ
動詞は、意志動詞・無意志動詞のどちらを使ってもいいです。

 

否定形の形は少し複雑で、「Vナイ形+ようになる」よりも、「~なくなる」の形で使うことがほとんどです。

「Vない形+ようになる」を使うのは、時間をかけて習慣的になくなる意味があるときです

だんだん散歩をしないようになった。(時間をかけて、習慣的に散歩する習慣がなくなった)

だんだん散歩をなくなった。(習慣的に散歩をしなくなった)

 

例文

習慣の変化

  • 社会人になってから、ニュースを見るようになった
  • 日本に来てから、自分でご飯を作るようになった
  • 一人暮らしを始めて、自分で洗濯するようになった
  • コロナを経験してから、外出するとき、マスクをするようになった
  • 最近お酒を飲まなくなった
  • 学校帰りに、ゲームセンターで遊ばなくなった

能力の変化

  • ひらがなが読めるようになった
  • 日本のドラマが少しわかるようになった
  • 1歳のとき、息子は歩けるようになった
  • 年を取って、お酒が飲めなくなった
  • 足が痛くて、走れなくなった

 

「~ようにする」と「~ようになる」の違い

自分で意識して変えるのか、変わった結果か

「~ようにする」は自分で意識して変えることを表し、「~ようになる」は変わった結果を表します。

 

では、例文で違いを見ていきましょう!

N3に合格するために、毎日3時間勉強するようにする。(これから意識して変える努力や習慣の目標を表わす)

N3に合格するために、毎日3時間勉強するようになった。(変わった習慣の結果を表す)

「勉強するようにする」は、自分で意識して変えることを表すので、「N3に合格するために、毎日3時間勉強するぞ!!」と努力していくことや習慣にしていくことを表します。

「勉強するようになった」は、変わった習慣の結果を表しています。

 

社会人になって、朝6時に起きるようにした。(社会人になって、朝6時に起きるように努力したこと・習慣にしたことを表す)

社会人になって、朝6時に起きられるようになった。(社会人になって、朝6時に起きられるように能力が変化(向上)した結果を表す)

「起きるようにした」は、自分で意識して変えたこと表すので、「社会人になったのだから、朝6時に起きるぞ!!」と努力したこと・習慣にしたことを表します。

「起きられるようになった」は、変わった能力の変化を表します。

 

学習者にどうやって説明する?

冒頭の学習者の質問への回答ですが、

  • 「~ようにする」は、目的があって、自分で変えようと、努力すること、習慣を変えることを表す。(例)N3に合格するために、毎日3時間勉強することにする。
  • 「V辞書形+ようになる」は、習慣の変化の結果を表す。(例)日本に来て、自分で料理を作るようになった。
  • 「V可能動詞の辞書形+ようになる」は、能力の変化の結果を表す。(例)ひらがなが読めるようになった。

という説明でいいと思います。

たのすけ
たのすけ
「~ようにする」は、細かく分ければ無意志動詞を使うと働きかけの意味ですが、初級段階の学習者には、まだ伝えなくてもいいかと思います。

 

【まとめ】「~ようにする」と「~ようになる」は、自分で意識して変えるのか、変わった結果なのかの違い!

「~ようにする」と「~ようになる」の違いについて説明しました。

もう一度ポイントをまとめます。

  • 「~ようにする」は、2つの意味がある。
  • 一つ目は、目的があって、自分で変えようと、努力すること、習慣を変えることを表す。(例)N3に合格するために、毎日3時間勉強することにする。
  • 二つ目は、他の人やものへ働きかけることによって、そのことを実現する意味を表します。(例)ケーキを8つに切って、みんなで食べられるようにする。
  • 「~ようになる」は、動詞の辞書形か可能動詞の辞書形かで意味が異なる。
  • 「V辞書形+ようになる」は、習慣の変化の結果を表す。(例)日本に来て、自分で料理を作るようになった。
  • 「V可能動詞の辞書形+ようになる」は、能力の変化の結果を表す。(例)ひらがなが読めるようになった。
  • 「~ようになる」は変化の結果を表すので、「~ようになった」と過去形で使うことがほとんど。
たのすけ
たのすけ
「~ようにする」「~ようになる」は、簡単なようで、使う動詞で意味が異なったりと、複雑な文型だなぁと思います・・・!

 

形が似ている文型は、その違いについて質問されることが多いです。答えられるように準備しておきましょう。

似ている文型に「~ことにする」と「~ことになる」があります。

こちらを合わせて確認していただければと思います。≫「ことにする」と「ことになる」の違いは〇〇がポイント!|例文で紹介します

 

 

以上、たのすけでした。

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