N3(文法分析)

「~にくい」「~づらい」「~がたい」は何が違う?|例文で比べてみよう!

学習者から

「先生、「~にくい」「~づらい」「~がたい」は何が違いますか?」

と質問されたら、あなたはどう答えますか・・・?

 

中級になると似ている文法が増えてくるので、学習者からの質問も増えてきます。

授業の前にしっかりと違いについて予習しておくと安心ですよね。

 

この記事では、「~にくい」「~づらい」「~がたい」の違いを紹介しています。

(たのすけの考察が含まれる部分もありますので、ご了承ください)

 

冒頭の学習者の質問に「何て答えよう…」と思ったのなら、ぜひこの記事を読んでみてください。

 

「~にくい」「~づらい」「~がたい」の違い

ポイントをおさえよう!

「~にくい」「~づらい」「~がたい」には、「~するのが難しい」という意味があります

それぞれポイントは以下の通りです。

  • ~にくい:一番一般的な言い方。困難だけど、できないことはないときに使う。
  • ~づらい:困難だけど、できないことはないときに使う。精神的肉体的に困難・負担になっていて「苦痛」を感じる時に使う。
  • ~がたい:程度が度を超えていて、できない(不可能)ときに使うことが多い。書き言葉。
たのすけ
たのすけ
通常ひらがなで書きますが、漢字にすると「~にくい」「~がたい」は「難」を、「~づらい」は「辛」の漢字を使います。

 

3つとも意志動詞に接続しますが、「~にくい」だけ無意志動詞にも接続することができます。

無意志動詞に接続するときは、「なかなか~しない」という意味になります。

このコップは割れ(〇にくい ×づらい ×がたい)。

雨なので、洗濯物が乾き(〇にくい ×づらい ×がたい)。

 

「~にくい」「~づらい」「~がたい」の違い|ポイントは3つ

心情的に難しい場合は「~にくい」「~づらい」を使う

「気持ち的に難しい・・・」と言う場合は、「~にくい」「~づらい」を使います。

アルバイトを辞めると言い(〇にくい ◎づらい ×がたい)。

みんなが残業しているので、帰り(〇にくい ◎づらい ×がたい)。

彼にふられてしまったから、学校で会い(〇にくい ◎づらい ×がたい)。

たのすけ
たのすけ
状況的に難しいというより、「相手に悪いな…」「自分の心が嫌だと言っている!」というときに使います。気持ち的なときは、「~づらい」が一番しっくりくると思います。

 

身体的に難しいときは「~がたい」は使えない

身体的に難しい場合は「~にくい」「~づらい」を使います。

歯が痛くて、ご飯を食べ(〇にくい 〇づらい ×がたい)。

この靴はヒールが高くて、歩き(〇にくい 〇づらい ×がたい)。

たのすけ
たのすけ
「~にくい」だと難しい状況を表していますが、「~づらい」を使うと、その状況で「苦痛」を感じているニュアンスを伝えられると思います。

 

不可能の意味の時は、「~がたい」を使う

「~にくい」「~づらい」は、「難しいけど、できないことはない」ときに使い、

「~がたい」は「ほとんんど不可能」の意味で使います。

 

ですので、3つとも同じ例文を作れますが、ニュアンスは異なります。

田中さんの話は理解しにくい。→理解するのは難しいけど、なんとか理解できる。

田中さんの話は理解しづらい。→理解するのは難しいけど、なんとか理解できる。(なんとか理解できるけど、何言っているかわからないから苦痛に感じるな…)

田中さんの話は理解しがたい。→話が度を超えていて、理解できない。

 

補足

「心情的にしたい」の気持がなければ、「~がたい」は使えない

「気持ち的に、~したい!」の気持がないときは、「~がたい」は使えません。

言い換えると、困難である、難しいことを言うだけの時は、「~にくい」「~づらい」を使います。

ハンバーがーは大きくて、食べ(〇にくい 〇づらい ×がたい)。

字が小さすぎて、読み(〇にくい 〇づらい ×がたい)。

私の家は駅から遠いので、学校に通い(〇にくい 〇づらい ×がたい)。

 

もし、「心情的に~したい!だけど、状況的に困難」という場合は、「~がたい」も使えます。

彼が浮気しているとは信じ(〇にくい 〇づらい 〇がたい)けど、昨日女の人とデートしているのを見てしまった・・・。

たのすけ
たのすけ
「彼が浮気しているなんて信じたくないけど、でも、状況を考えると信じるのは難しい」という場面ですね。

 

「~がたい」は一緒に使う動詞が限られる

「~がたい」は心の動きや発言に関する動詞と一緒に使うことが多いです

(例)信じる、理解する、想像する、許す、受け入れる、言う

 

理由は、「~がたい」には「度を越えていて、できない(不可能)」の意味があるからだと思います。

100メートルを8秒で走った話は信じ(〇にくい ?づらい ◎がたい)。

たのすけ
たのすけ
「~づらい」は、精神的肉体的に「苦痛」を感じていなければ、ちょっと不自然に感じます。

 

「~がたい」を使うのは、「えー!!それはできないよ!」という場面が多いと思います。

ですので、「~がたい」はフレーズで覚えましょう、としてもOKだと思います。

  • 信じがたい
  • 許しがたい
  • 理解しがたい
  • 受け入れがたい

 

話し言葉?書き言葉?

「~がたい」は書き言葉で、改まった場面でよく使われます。

 

学習者にどうやって説明する?

冒頭の学習者からの質問への回答ですが、

  • 気持ち的に難しい場合は、「~にくい」「~づらい」を使う。(例)アルバイトを辞めると言い(〇にくい ◎づらい ×がたい)。
  • 身体的に難しいときは「~がたい」は使えない。(例)歯が痛くて、ご飯を食べ(〇にくい 〇づらい ×がたい)。
  • できない(不可能)ときは、「~がたい」を使う。
  • 「~がたい」は、一緒に使う動詞がある程度限られている。
  • 「~がたい」は、書き言葉でフォーマルな場面で使う。

+αで・・・

  • 「~づらい」を使うと、「苦痛」を感じているニュアンスを伝えられる。
  • 「~にくい」が一般的な言い方。
  • 無意志動詞に接続できるのは、「~にくい」だけ。意味は「なかなか~しない」(例)このコップは割れ(〇にくい ×づらい ×がたい)。

という説明でいいと思います。

たのすけ
たのすけ
何を伝えるのか・伝えないのかは、学習者の理解度によって変えてくださいませ。

 

この3つを比べると、「~がたい」だけ、使い方が少し異なりますね。

なので、「~がたい」の特徴を伝えるといいと思います。

 

「~にくい」「~づらい」の違いを伝えるのなら、一番わかりやすいのは、「~にくい」は無意志動詞にも接続詞、「なかなか~しない」の意味があるということです

その他、細かいところで言うと、「~づらい」は、精神的肉体的に『苦痛』を感じているニュアンスになります。

 

【まとめ】困難を表す表現でも微妙に異なる!

「~にくい」「~づらい」「~がたい」の3つの違いについて説明しました。

冒頭で紹介したポイントをもう一度お伝えします。

  • ~にくい:一番一般的な言い方。困難だけど、できないことはないときに使う。
  • ~づらい:困難だけど、できないことはないときに使う。精神的肉体的に困難・負担になっていて「苦痛」を感じる時に使う。
  • ~がたい:程度が度を超えていて、できない(不可能)ときに使うことが多い。書き言葉。

【参考】~づらい / ~がたい

 

違いはこちら↓

  • 心情的に難しい場合は、「~にくい」「~づらい」を使う。
  • 身体的に難しい場合は、「~がたい」を使えない。
  • 不可能の意味のときは、「~がたい」を使う。
  • 心情的にしたいの気持ちがなければ、「~がたい」を使えない。
  • 「~がたい」は一緒に使う動詞が限られる。
  • 「~がたい」が書き言葉。

 

たのすけ
たのすけ
日常的によく使う言葉ですが、改めて考えると、使い分けして使っている日本人はすごいですね(笑)

 

以上、たのすけでした。

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