「今度、初めてN3の文法を担当することになったけど、なんだか不安…」
「初級と違って、中級文法を教えるときに気をつけることある?」
こんな悩みや疑問を持っていませんか?
その気持ち、よーくわかります!!私も初めてN3文法を担当したときは、めちゃめちゃ不安でした。
学生はいつもと変わらないのに、なぜか日本語教師になって初めて授業をしたときぐらいドキドキして、緊張したのを覚えています!
この記事では、私がN3文法の授業でクラスが大混乱になり「あぁ、大失敗だ…」と思った話をしたいと思います。
その話から、私と同じ過ちを繰り返さないように、中級文法を教えるときに気をつけたいことを3つ紹介します。
中級文法の教え方は「【実際の導入例を紹介】日本語「中級文法」の教え方と5つのポイント」の記事で詳しく書いています。
ぜひ、中級文法を教えるときの参考にしてみてください。
目次
【経験談】私がしたN3の文法授業での失敗

中級文法になると、類似文型が増えます。
形が似ているけど意味が違う文法や、意味自体が似ている文法があります。
形が似ているけど意味が違う文法は、あまり教えるのは難しくありません。
理由は、形が似ているだけで意味が違うので、使用する場面は違うから、学習者は混乱しないのです。意味が違うので、説明も簡単です。
やっかいなのは、意味が似ている文法です。
意味が似ている文法は本当にやっかいで、学習者は「〇〇と△△は何が違うの?」「〇〇と△△はどう使い分ければいいの?」と頭の中に疑問がいっぱい生まれます。
私がN3の文法授業でクラスが大混乱してしまった文法は「~にわたって」と「~を通じて/~を通して」の文法です。
この2つの文法は意味が似ています。
日本語の豆知識を教えようとした私は「~をわたって」の文法のときに、似ている文法として「~を通じて/~を通して」を紹介したのです。
しかし!!!
「~にわたって」と「~を通じて/~を通して」意味の違いを明確に説明することができずに、
学生の頭の中は???
そして、私の頭の中も???
ん??
なんか・・・まずい感じ??
うん、きっとまずい感じだ…
(゚Д゚;)
恐らく、こんな顔になっていたと思います。
学習意欲が高い学生たちだったので、学生からは、疑問に思ったことはどんどん質問が来ます。それから、作った例文が正しいかどうか、どんどん新しい例文を作っては聞いてきます。
学生同士で、ざわざわざわ…ガヤガヤガヤ「あれ?これはいい?何が違うの?」と話していたと思います。
とにかく私の頭の中ではパニックで、もうわけがわからないことになっていました。
説明がしどろもどろで、自分でも何を言っているのかわからなくなって、
この説明でいいのか自信がありませんでした。
学生にも私が焦っていたのが伝わっていたと思います。
授業の時間が限られていたので、「~にわたって」と「~を通じて/~を通して」の違いの説明は途中で切り上げて、進みました。
そのときにした対応は、もっとわかりやすい説明と例文を考えて、次回の授業で伝えるということでした。
【参考】学習者から答えられない質問をされたときの3つの対処法|日本語教師の疑問
とにかくもうパニックで、早く授業時間が過ぎてしまえばいいと思いました。
本当に情けなくて、自分で自分が嫌になってしまいました・・・(泣)
N3の文法授業で混乱を招いてしまった原因

文法授業でクラスが混乱してしまった原因は、自分の知識や理解があいまいだったからです。
自分の中に落とし込めていないのに、学生に「~にわたって」は「~を通じて/~を通して」と似ているから気をつけようね!という感じで紹介してしまったのがダメでした。
変に教師面したのがいけなかったんです…!!
今まで授業で「上手に説明できなかった」「わかりにくい言い回しをしてしまった」と思ったときは何回もあります。その度に反省しては落ち込んでいました。
でも、あんなに冷や汗が出て、しどろもどろした授業はありません。
もう絶対に同じ過ちは繰り返さない!と心に誓ったし、同じように授業中にクラスが大混乱にならないでほしいと思い、他の日本語教師の役に立ったらいいなと思ってこの記事を書いています。
中級文法の授業で混乱をさせないための3つの対策
それでは、私のように中級文法の授業でクラスが混乱しないために、できる対策を3つお伝えします!
それぞれ授業に対する考え方など違うと思いますので、一つの意見として聞いてくださいね^^
1.あえて類似文型を提示しない

N3文法の授業でクラスが大混乱した経験から、今は「あえて」類似文型の提示はしません。
「あえて」というのは、学習者からの質問がなければ、教師から類似文型の提示をすることをしないという意味です。
1つの文型に対して、類似文型って1つだけじゃないんです。2つも3つもあったりします。
それらを全部提示するのは授業時間の関係上できないし、提示したことによって混乱してしまうなら、提示しなくていいと思います。
そういう考えに至ったのには、理由が2つあります。
一つ目の理由は、JLPTの文法試験の問題では、4択の選択肢の中に類似文型自体が含まれていない(と思う)ので、「〇〇と△△はここがこう違って」とこの段階ではやる必要がないと思ったからです。
また、二つ目の理由は、学習者が間違って使っていたら、その都度文法の使い方や違いを説明をしたほうが実践で覚えやすいと思ったからです。
もちろん、学習者から似ている文法との違いを聞かれたら、きちんと答えなければならないので、その答えは準備しておきます。
そのためにも、授業準備の段階で文法分析をしておくのはとても大切です。
文法分析とは、文法の接続や意味、注意事項、使い方などを調べて例文を考えたり、類似文型との違いについて分析することを言います。
2.類似文型の説明は演習問題のときにする

文法の授業の中で、問題演習がある学校がほとんどだと思います。理由は、中級文法の教科書は、文法の導入・説明と問題演習がセットになっているからです。
私は、問題演習のときに間違えたら、そのときに類似文型との違いについて説明すればいいと思っています。
自分で間違えて、そのときに「何でかな?」と思って、理由を理解することで、自分の中で本当の理解ができて、学習した文法が使えるようになると思うからです。
聞いているだけでは覚えた気になって、実際にはあんまり身になっていないんですよね。
それから、教科書の演習問題は、その選択肢以外選べないという良問なので、似ている文法との違いを説明するのはもってこいの例文です。
このような理由もあって、文法を導入・説明する段階では「あえて」類似文型を教師から提示して説明をしていません。
ポイントは「あえて」ですよ~^^
3.事前に授業準備をしっかりする

一番は「事前に授業準備をしっかりする」ことに尽きます。
授業準備をしないで臨む授業ほど、怖い授業はありません。
私は自分に自信がないからこそ、授業準備はしっかりやるようにしています。
授業準備をしたって、100%上手にできた!上手くいったな!と思える授業は、ほとんど、というかありません。それなら、できるだけしっかりと授業準備はしておいたほうがいいと思いませんか?
中級以上になったら尚更、知識がないと説明できないことも増えてきます。
なので、授業準備に尽きます。1に授業準備、2に授業準備、3・4がなくて、5に授業準備です!!
曖昧なまま、なんとなく理解できたつもりでいるのは危険です!私はN3の文法授業のクラスで大混乱を招いてわかりました。
でも、一人で考えてもわからないことってありますよね。
その時は、同僚の日本語教師の方に聞いちゃいましょう!
誰もが、同じように「あれ?〇〇と△△の違いがよく理解できない」「ここの説明難しいな。学生には何て説明したらわかりやすいだろう…」と思っています。
【まとめ】失敗も経験です。次に生かしましょう!

私がN3の文法授業のクラスで大混乱を招いてしまった経験と、そうならないためにできる対策を3つ紹介しました。
もう一度、対策をまとめますね。
1.あえて類似文型を提示しない
2.類似文型の説明は問題演習でする
3.事前に授業準備をしっかりする
クラスを大混乱にさせてしまった後は、また私の説明がわからなくて大混乱してしまったらどうしよう…と怖かったです。
でも、事前に授業準備をしっかりすることで、落ち着いて授業ができるようになりました。
なので、不安な授業こそ、事前に授業準備をしっかり行い、それでもわからないことがあれば、他の日本語教師の方に聞いてみましょう。
もし、「授業で失敗した…」と思っても大丈夫です。次に生かせる経験ができたんですから!そう思うと、授業で失敗というのはないのかもしれませんね。
事前に授業準備をしても、想定外の質問が来たり、学習者から答えられない質問は来るものです。
そのときは「学習者から答えられない質問をされたときの3つの対処法|日本語教師の疑問」の記事で紹介している対処法を参考にしてみてください。
以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。