日本語教師になったばかりの方!JLPTについてどのぐらい知っていますか?
学生からこんなことを聞かれたら、答えられますか?
「日常会話ができるようになりたいので、N4とN3どちらを目指せばいいですか?」
「N2があれば日本で就職できますか?」
日本語教師の養成講座でも日本語学校でも、JLPTのレベル別の会話力については教えてくれないんですよね。
この記事では、「JLPTの試験」と「各レベルの日本語の会話力」について解説しています。
この記事を読めば、以下の疑問が解決します。
JLPTの試験時間や得点配分などの詳しいことは書いていません。知りたい方は公式ホームページを見てくださいね。
日本語教師になったばかりの方で、あまりJLPTのレベルについて知らないなら、ぜひこの記事を読んでみてください。
目次
日本語能力試験(JLPT)とは
JLPTの概要
JLPTとは「Japanese Language Proficiency Test」のことで、正式名称は日本語能力試験です。
日本語試験の中で一番有名なのが、JLPTです。
1984年から実施され、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し認定するための試験です。
2010年に内容を改定し、今は新しい問題となっています。今は日本語レベルをN〇と表しますが、以前は〇級と表していました。
試験の実施は年に2回で、7月と12月に行われます。
JLPTは日本だけでなく、海外の主要都市でも受験することができます。
JLPTは、いくつレベルがあるの?
JLPTのレベルは5つに分かれています。
一番下はN5で、一番上のレベルがN1です。
各レベルの合格率は「JLPTの各レベルの合格率は?レベル別にまとめました!」をご覧ください。
JLPTのN5~N1レベルを詳しく解説
簡単に、各レベルの日本語の会話レベルをまとめました。
JLPTのレベル | 日本語の会話レベル |
N1 | 難しい話題でもディスカッションができるが、会話レベル的には、N2とあまり変わらない。 |
N2 | 日常会話で困ることはない。ビジネスでも対応できる。 |
N3 | 日常会話ができる。 |
N4 | コミュニケーションはでき会話も成り立つが、まだ言いたいことが言えない。 |
N5 | 基本的な日本語を話すことができるが、単語レベル。 |
次から、簡単に各レベルの日本語力を紹介します。
漢字の読みと文法の問題を一問ずつJLPTの公式ホームページから参照したので、各レベルの参考にしてくださいね。
N5
N5は、「基本的な日本語をある程度理解することができる」レベルです。
漢字は約120個です。
見てわかると思いますが、N5はそれほど難しくありません。独学でも合格できるレベルです。
合格までの勉強時間は、大体150時間ぐらいだと言われています。
会話レベルはまだまだ単語レベルで、コミュニケーションはあまりとれません。
N4
N4は、「基本的な日本語を理解することができる」レベルです。
漢字は約300個です。
N4合格までの勉強時間は、大体300時間ぐらいだと言われています。
N4があればコミュニケーションはでき、会話は成り立ちます。
ただ、ハッキリ簡単な日本語でゆっくり話さないと通じないレベルです。
まだまだ会話をするのには語彙・文法ともに足りません。
N3
N3は、「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルです。
漢字は約700個です。
N3は旧試験(2009年までのJLPT)にはなかったレベルです。
3級(現N4)と2級(現N2)の差があまりにも大きかったので、その間のレベルとしてN3ができました。
N4からN3になると、一気に難しいと感じる学習者が多いです。
特に読解では漢字のフリガナがなくなるので、非漢字圏の学習者は難しいと感じるようです。
とはいっても、N3はちゃんと勉強すれば合格できます。
JLPTのN3の勉強方法については、「JLPTのN3に合格する勉強方法~どんな学習アドバイスがいい?~」の記事で紹介しています。
N3に出てくる語彙や文法は、日本人が日常会話で使うものが多いです。
N3レベルがあれば『日常会話ができる』と判断していいと思います。
N2
N2は、「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルです。
N2の漢字は1,000~1,300個ぐらいです。
N3とN2だと試験時間も変わります。
N3までは語彙30分、文法・読解70分と分かれていましたが、N2は語彙・文法・読解が全部で105分になります。集中力も必要になってきます。
N3までは合格できても、N2となるとなかなか合格できません。一気にレベルが上がります。
N2レベルがあれば、日常生活で困ることはありません。
N3は日常会話だったのに対して、N2があればビジネスにも対応できる日本語能力があります。
それから、大学に進学したいならN2は必須です。
理由は、N2レベルがないと講義の内容など理解することが難しいからです。
(大学進学を目指しているならEJU(日本留学試験)を受けてくださいね)
N2があれば、ある程度『読み』『書き』『話す』ことができ、仕事として日本語が使えるレベルと言っていいと思います。
N1
N1は、「幅広い場面で使われる日本語を理解することができる」レベルです。
N1の漢字は約2,000個です。
日本人が高校卒業までに勉強する漢字が約2,000個ですから、N1はレベルが高いことがわかりますね。
試験には日本人でも使わないような語彙も多く出てきます。
日本人でもN1の試験を受けて満点取ることはできないかもしれません。
読解などはセンター試験と同等レベルだと思ってください。
N1レベルがあると、難しい話題についてもディスカッションができます。
ただし、漢字圏の学生は漢字ができるので、N1に合格しても話せいない学生も多いです。
N1に合格するには相当の努力と時間が必要です。
『N1がある=努力できる人』と見ることもできます。
N1とN2の差は?
会話力なら、N1とN2ではあまり差がありません。
理由は、N1で出題される半分はビジネスでも使わないような硬い日本語や文学などの日本語なので、日常会話ではあまり使わないからです。
N1は相当難しいので、取得までに長い年月と努力が必要です。
N2を持っていれば、日本語力を示す資格としては十分なので、まずはN2を目標にしましょう。
仕事で必要なJLPTレベルは?
日本で仕事をするならN2レベルがほしいです。でも、必須ではありません。
N3でも仕事はできますが、難しい話題になると日本語力がないせいで、仕事に影響が出てしまうこともあります。
また、仕事となると日本語の文書を読む場面も多く出てくるので、N2相当の読解力がないと正しく日本語を理解することができません。
気をつけてほしいのは、『N2=日本語が話せる』は必ずしもイコールではありません。
ペーパーテストはできても会話ができない人は大勢いますし、ペーパーテストができなくても日本語でのコミュニケーションに問題がない人もいます。
留学生の日本での就職については、「【留学生の就職指導】日本企業が留学生に求めているものはコレだった!」の記事をご覧ください。
【まとめ】
JLPTの各レベルの会話力をもう一度、まとめます。
JLPTのレベル | 日本語の会話レベル |
N1 | 難しい話題でもディスカッションができるが、会話レベル的には、N2とあまり変わらない。 |
N2 | 日常会話で困ることはない。ビジネスでも対応できる。 |
N3 | 日常会話ができる。 |
N4 | コミュニケーションはでき会話も成り立つが、まだ言いたいことが言えない。 |
N5 | 基本的な日本語を話すことができるが、単語レベル。 |
実際には、N1を持っていてもあまり日本語が話せない人もいますし、N5でも日本語が上手だなぁと感じる人もいます。
日本語が上手に聞こえるかどうかは、発音も影響しています。
発音の教え方については、「【発音指導】たったこれだけ?日本語の発音の教え方4つのポイント!」の記事に書いていますので、よかったらご覧ください。
実際の点数配分や申し込み方法など、細かいところは公式ホームページをご確認ください。
JLPTの勉強方法はこちら
≫JLPTのN3合格の勉強方法~効果的な学習指導できていますか?~
N3以上を教えるときに、持っておきたい本はこちら
≫中級以上を教える日本語教師へ!おすすめの文法の本【厳選5冊】
≫JLPTのN3以上を教えるときに「類語例解辞典」が役に立つ!
以上、たのすけでした。
日本語教師のまとめ記事はこちら
≫日本語教師になりたい方向けのまとめ記事
≫授業のやり方や教え方で悩んでいる日本語教師の方向けのまとめ記事
≫【完全保存版】日本語授業のやり方や教え方がわかるまとめ記事
≫働き方で悩んでいる日本語教師の方向けのまとめ記事
日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。