今回は「みんなの日本語Ⅱ」で学生が難しいと思う文法です。(私の経験から独断で選んでいますので、ご了承ください)
第1弾は、「「みんなの日本語Ⅰ」で学習者が難しいと思う文法ベスト5!」の記事をご覧ください。
この記事では、「みんなの日本語Ⅱ」で学生が難しい思う文法5つと、教えるときのポイントや注意点を紹介しています。
この記事を読めば、以下のことがわかります。
「みんなの日本語Ⅱ」になると、だんだん難しい文法が増えて、つまづく学生が多くなってきます。
事前に学生が難しいと思う文法を把握して、しっかりフォローできるようにしましょう!
目次
「みんなの日本語Ⅱ」で学生が難しいと思う文法ベスト5
それでは、ランキング形式で紹介していきます。
第5位「第29課・第30課の~ています/~てあります」

第5位は第29課と第30課の「~ています」「~てあります」の文法です。
この二つ文法は意味の違いも難しいですが、初めて「自動詞」「他動詞」が出てきて混乱します。
自動詞と他動詞ってなかなか覚えられないんですよね・・・。
自動詞と他動詞にはあまり決まったルールがないので、覚えてもらうしかありません。
詳しく文法を見ていきましょう。
例1)ドアが開いています。(第29課)
例2)ドアが開けてあります。(第30課)
例1は、①ドアを開けた。 ②今、ドアが開いている状態。
例2は、①誰かがドアを開けた。 ②だから、今、ドアが開いている。
どちらも、「今ドアが開いている」ということは同じです。
ポイントは、①は誰がドアを開けたのかは関係なく、今ドアが開いていることに注目しています。
②は誰かが何かの目的があって、ドアを開けたので、今ドアが開いています。
動作した人に注目しています。
間違えやすいのは、助詞と自動詞・他動詞を間違えやすいです。
第29課「〇〇が〈自動詞〉ています」
第30課「〇〇が〈他動詞〉てあります」
第4位「第48課の使役」

第4位は第48課の使役です。
使役は意味が2つあります。「強制」と「許容」です。
しかも、自動詞と他動詞の組み合わせがあるので、全部で4種類のパターンがあります。
助詞も「に」なのか「を」なのか間違えやすいです。
例1)部長はミラーさんを出張させました。
例2)部長はミラーさんに資料をコピーさせました。
自動詞のときは「を」、他動詞のときは「に」を使います。
単純に一つの文に「を」は2回使えないと覚えさせましょう。
使役が難しいと感じるのは、なかなか使う機会がないからだと思います。
仕事を始めて、人に支持する立場になって初めて使役の使い方がわかるのではないでしょうか。
(補足)みんなの日本語では勉強しませんが、実は『使役受身形』もあります。(N3で勉強します)
例)ミラーさんは部長に出張に行かせられました。
- 行きます⇒行かせます(使役)⇒行かせられます/行かされます
- 手伝います⇒手伝わせます(使役)⇒手伝わせられます/手伝わせます
使役受身の形、難しくないですか!?
学生は大混乱ですよ。
教師自身も使役受身の形は間違えやすいので、注意してくださいね。
第3位「第37課の受身」

第3位は第37課の受身です。
受身の形を作ること自体はそんなに難しくありません。
受身で難しいのは「いつ使うのか」です。
例1)部長はわたしをほめました。
例2)わたしは部長にほめられました。
例2は受身にしているだけで、例1も例2も意味は同じですよね。
例1でも言えるのに、なぜ受身を使う必要があるのでしょうか。
日本語は視点を自分におくので、自分を中心に話します。
視点がいつも自分、自分に近い人と考えると、いつ受身にすればいいのかわかると思います。
受身では「誰がするのか」もポイントになるので、助詞の「に」にも注目させてください。
学生が受身を難しいと思うのは、他にも原因があります。
- 持ち主の受身
- 無生物主語の受身
- 有名な人のときは助詞が「によって」変わる
例3-1)わたしの足は誰かにふまれました。✕
例3‐2)わたしは誰かに足をふまれました。〇
例4)オリンピックは2020年に東京で行われます。
例5)電話はベルによって発明されました。
学生が難しいと思うところはたくさんあるので、受身は丁寧に教えましょう。
第2位「第26課の~んです」

第2位は第26課の「~んです」です。
みんなの日本語Ⅰが終わって「やっとⅡになった!頑張るぞ!」と思っているところに、いきなり難しい文法なので、「んです」を第2位に選びました。
26課の時点では、まだ普通形が定着していない人も多いので、難しいと感じる人も多いようです。
「んです」は、覚えた後、学生が多用してしまうことが多いです。
とりあえず、何でもかんでも「んです」と使って答えるようになります。
「んです」は書くときは使えないのに、作文でも「んです」を多用してしまいます。
なかなか「これ!」という最適なシチュエーションで使うのは難しいようです。
「んです」は、「んです」を使った文と使っていない文を比べて導入・説明をするのがいいですよ。
「んです」は副教材のイラストがおすすめです。
ちなみに、下の例文はみんなの日本語Ⅱの副教材にあるイラストの例文です。
例1)夏休み、旅行に行きますか。
例2)旅行に行くんですか。
これを学生にわかりやすく説明できるようにしておきましょう。
第1位「第49課・50課の敬語」

第1位は敬語です。
学生は「敬語」っていうだけで、拒否反応があるんですかね?
「敬語」だから難しいと先入観が先走ってしまっているだけかもしれません。
確かに日本人からしても、正しく敬語を使うのは難しいと思います。
敬語で難しいのは「尊敬語」と「謙譲語」の概念です。
目上の人に敬語を使う国は別ですが、敬語が存在しない国の学生にとっては特に難しいようです。
尊敬語の意味はわかるけど、謙譲語の自分をへりくだるってどういうこっちゃ!?
学生の頭の中は?です。
敬語はスペシャル尊敬語、「お~になります」、尊敬動詞といろいろあるので、使い分けも難しいようです。
例1)部長はお酒を召し上がります。(スペシャル尊敬語)
例2)部長はお酒をお飲みになります。(お~になります)
例3)部長はお酒を飲まれます。(尊敬動詞)
どれも尊敬語ですが、尊敬レベルは「スペシャル尊敬語>お~になります>尊敬動詞」です。
敬語はなかなか上手に使いこなせる人がいないので、敬語が上手にできる人は「日本語が上手だな~」と思います。
学生自身も敬語が使えるようになりたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
まずは敬語に対する学生の苦手意識を取ることから始めましょう。
【まとめ】「みんなの日本語Ⅱ」で学生が難しいと思う文法ベスト5!

「みんなの日本語Ⅱ」で学生が難しいと思う文法を5つ紹介しました。
第1位:第49・50課「敬語」
第2位:第26課「~んです」
第3位:第37課「受身」
第4位:第48課「使役」
第5位:第29・30課「~ています/~てあります」(自動詞・他動詞)
みんなの日本語Ⅱになると、一気に日本語が難しくなったと感じる学生が多いです。
学生に「難しい…日本語苦手だなぁ」と感じさせないためにも、教師はわかりやすい授業をしたいものですね。
授業準備は以前にも増してしっかりやっていきましょう。
▷教案作成時におすすめ
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以上、たのすけでした。
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日本語教師たのすけです。
恥ずかしがり屋で引っ込み思案・周りの目を気にしすぎる私でも、日本語教師の仕事にやりがいを持って働けるようになった授業のやり方を中心に、発信しています。